兵庫県指定有形文化財の高座神社(丹波市山南町谷川)本殿の保存修理事業が完成した。再建以来、約300年ぶりの大修理。11、12の両日の秋の祭礼で氏子らに披露される。2012年4月に着工して以来、ほぼ3年半がかり。
修理前の本殿は、長年の風雪で、全体的に老朽化が目立ち、県や丹波市の指導により、工事に着工した。修理に伴う県教育委員会文化財課の調査で、本殿には、再建当時の材が数多く残っていることも確認されたため、半解体修理の方法を採用。柱など主要な軸部を残して建物をいったん取り除き、破損した部材を取り替え、補修した。檜皮葺きの屋根は葺き替えた。
文化財の保存、修復などを手掛ける川面美術研究所(京都市)や龍谷大学(同)の調査で、?がれた蟇股や彫刻の彩色が分かり、赤、青、緑、白などが施された。さらに、解体中に軒下から出てきた古文書により、再建当時の檜皮葺屋根の軒付けの厚みも分かり、1974年(昭和49)の葺き替え当時のものより薄くし、18・2センチに改めた。工事を請け負った村上社寺工芸社(同町篠場)の村上英明さん(公益社団法人全国社寺等屋根工事技術保存会長)は、「屋根の軒付けの厚みを変えることにより、軽やかで優美な屋根になったと思う。工事全体を通じて昔の技術者の工夫の跡がうかがえた」という。