「お猿さん一行がやって来られました。スイートコーンをおいしそうに食べておられます」―。兵庫県丹波市春日町大路地区では、防災無線でユニークな“サル注意報”を放送し、農作物被害の軽減を図っている。
同地区には、スイートコーンの収穫が最盛期を迎える7月ごろ、篠山A群とE群と呼ばれるサルの群れが侵入する。野瀬自治会を皮切りに、栢野、広瀬、松森、上三井庄自治会などへ移動し、畑を荒らすという。
大路地区自治会長会では数年前、自治会間の連携を強化して被害軽減に当たろうと、防災無線の活用を検討。同地区にサルが現れた場合、居場所や進んだ方向などを放送している。最初にサルが現れることが多い野瀬自治会が放送を担当することがほとんどで、同自治会の細見寛之会長が昨年行った“サル注意報”が、同地区住民の笑いを誘った。「本日、お猿さん一行は観音寺(同町野瀬)近くにご宿泊される予定です」などと放送。放送翌日には、「昨日のサル注意報、おもしろかったね」と地域の話題になるほどだったという。
同じく被害に悩まされている上三井庄自治会の山本俊平会長と林野委員長の前田秀樹さんは、「放送に感心した。効果があったのか、昨年は上三井庄地区で被害はなかった」と笑う。細見会長は「深刻な被害だが、あえて明るく放送することで、気分を和らげたかった」と言い、「今年は申年。サルによる被害がなくなるのが一番なのだけれど」と話している。