“旅するチョウ”で知られる「アサギマダラ」を飛来させようと、兵庫県丹波市市島町梶原自治会の住民でつくる「梶原ふるさと協議会」(荒木敬一会長)が、エサとなるフジバカマを植えて整備している農地に、このほど待望の1匹目が姿を現した。昨秋の取り組み開始から1年。待ちわびた結果に、荒木会長(67)は「何度も農地に足を運び、飛来を待った。来年も飛来してほしい」と喜んでいる。
アサギマダラは、羽を広げると10センチほど。黒と褐色のほか、ステンドグラスを思わせるような浅葱色の羽を持つ。渡り鳥のように、季節によって集団で長距離を移動する習性があり、国内にいた個体が海を越えて台湾や香港で確認されることもある。
昨秋、会員の荻野俊男さん(57)が、テレビ番組でアサギマダラが福知山市に飛来していたことを知り、荒木会長や荒木久志事務局長(67)に相談。「梶原にも飛来したらいいな」という思いから、役員らが中心になって、生態を調べるところからスタートした。
つてを頼り、アサギマダラに詳しい同市の「児童科学館」を訪問し、生態や習性を学び、標本をみせてもらうなどした。ほどなく同市雲原の糸井洋さん・美代子さん夫妻宅にアサギマダラが飛来したと知人から聞き、現場に向かった。実物を見るとともに、飛来までの経緯を聞くなどした。
今年3月、景観形成や生態系保全も兼ね、糸井夫妻の好意で株分けしてもらったフジバカマを、地域内にある日光寺の参道横の農地(約100平方メートル)に植栽。以降、会員で水やりや草刈りに取り組み、世話を続けた。