自立したり、社会生活を営むことが困難な「ひきこもり」―。篠山市では「市ひきこもり支援検討委員会」が昨年度、民生委員・児童委員らの協力を得て、各地域での実態を調査した結果、94件の回答から54人が引きこもり状態にあることがわかった。関係者は、「調査結果は氷山の一角」と分析している。内閣府は全国で約70万人がひきこもり、予備軍も約155万人いると推計するなど、本人だけでなく、家族にも大きな負担となっていることから、早急な支援が求められている。
調査ではひきこもりを、「義務教育を卒業後の15歳以上65歳未満で、6カ月以上、自宅にひきこもり、会社や学校に行かず、家族以外と親密な関係がない状態」と定義。民生委員児童委員が把握している情報で、▽担当自治会にひきこもり傾向の人がいるか▽その性別、年齢▽ひきこもりに関する相談の有無―などを聞いた結果、男性44人、女性10人がひきこもり状態にあることがわかった。男性では50歳以上が13人で最も多く、次いで30歳代の12人、20歳代の10人と続いた。女性では30歳代の4人が最も多かった。
うち長期のひきこもりとされたのは男女合わせて41人で、うち男性50歳以上が11人を占めるなど若年層だけの課題ではないことが浮かび上がる。
また、情報提供元は「近隣から」が7件と最も多く、「家族から」の4件を上回っている。
市地域福祉課障害福祉係によると、内閣府が推計したひきこもり人口を篠山市に当てはめると15歳から39歳までで184人いると推察されることなどから、実際には調査結果以上の人がひきこもり状態にあると考えれるという。