熊本地震で被災した熊本県西原村の教育委員会(曽我敏秀教育長)がこのほど、兵庫県篠山市京町のNPO法人「P・U・S(バングラデシュの村を良くする会)」にランドセル約100個を寄贈した。同法人理事長で、地震発生直後からボランティアとして西原村にかかわっている岩下八司さん(67)と現地住民とのつながりがきっかけ。ランドセルは被災した児童たちのためにと寄せられたものの不要になっていたもので、熊本に向けられた善意が、バングラデシュの子どもたちのために役立つ。4月14日で地震の発生から丸1年。紡いだ縁が“お互い様”の支援につながっている。
市民ボランティアによって同県山鹿市内で集められたもので、中古品ではあるものの、きれいで十分使用できる。
昨年4月の地震で最大震度7を観測した西原村。自宅が損壊した児童らのためにと、支援物資として同教育委員会に寄付され、ランドセルを必要とする児童に配られたが、多くが残っていた。
バングラデシュで学校を建設するなど教育支援活動を行っている岩下さんは、地震発生直後から西原村に入り、さまざまなボランティア活動を展開。昨年4月以降、定期的に村を訪れ、炊き出しの手伝いや屋根が破損した民家にブルーシートを張るなどしてきた。
活動を行った民家の住民がバングラデシュへの支援活動を知り、教育委員会に余っているランドセルの寄贈を提案。「支援として寄せられた物資が子どもたちのために役立つならば」と、同法人に贈ることになった。
今年2月、寄贈されたランドセルの一部を持って岩下さんらがバングラデシュに向かい、同法人が建設した小学校の開校式で現地の児童たちにプレゼント。遠く日本から届けられたランドセルに、児童たちは大喜びだったという。