兵庫県篠山市の市名を「丹波篠山市」とする市名変更問題に絡み、変更を求める団体などが要望の理由の一つとして商品などの裏面に掲載する食品表示に「『丹波篠山産』とすることができなくなる可能性がある」と声を上げていることについて、篠山市が関連法や事例などを調査し、資料にまとめた。消費者庁は現状では「『丹波篠山産』で問題ない」とする見解を示しているものの、市は、「農産物の原産地については、都道府県、もしくは市町村名を表示するように」と指導している県の見解を「尊重すべき」とした。
発端は2015年、国から食品表示法の権限を一部委任されている県が、同法に基づき、JA丹波ささやまに対し、「消費者に誤認を与えないよう、『丹波篠山産』から、『兵庫県篠山市産』と表示するよう」と指導したこと。理由は、丹波篠山産が、「旧篠山町か、現在の篠山市か、あるいは丹波市と篠山市を含むエリアなのか、特定しかねる」とされた。
この指導はあくまで「指導」であり、強制力があるものではないが、同JAはその後、新商品として販売した「丹波篠山黒枝豆冷凍パック」の原料原産地名を「兵庫県篠山市産」と変更。他の黒豆や山の芋関連商品も順次変更しているという。
一方、消費者庁は、「広く一般に知られている名称ならば問題ない」との認識で、現時点では、「丹波篠山産」と表示することを問題視しておらず、見解が分かれている。