兵庫県篠山市には、機動力や鳴き声を生かして、サルによる農作物の被害から農地を守る追い払い犬「モンキードッグ」として活躍する犬たちがいる。同制度は県が認定するものだが、現在、実働しているのは県内で篠山市のみ。プロのトレーナーの指導を受け、主人や地域の人たちが育てた野菜を守るため、犬たちが“犬猿の仲”を生かして日々奮闘している。
制度スタートから引退した犬もいるが、現在も15頭が活動。犬種は柴犬やミックスからシュナウザー、ゴールデン・レトリバー、屋久島犬に甲斐犬などとさまざまだ。
細見昌宏さん(62)=篠山市県守=は、愛犬にモンキードッグの訓練を受けさせている一人。2016年1月から訓練を始め、今春の“デビュー”を目指している。
自宅のある県守は、サル群の通り道とされる。電気柵を張りめぐらせているものの、自身の畑を荒らされ、集落内のクリ、カキ、吊るし柿なども狙われた。隣の集落にモンキードッグがいることを知り、愛犬「小鉄」(1歳、オス、甲斐犬)も仲間入りをと、訓練を受けることにした。
月2回ほど、トレーナーによる訓練があり、「待て」「座れ」などを繰り返し行う。“宿題”を持ち帰り、家でも訓練する。
日課は朝晩の散歩。リードでつないだ状態ながら山すそを歩くようにしている。犬の毛やおしっこがシカ対策になると聞いたからだ。モンキードッグの認証を受ければ、サル群れを発見した際に、リードを離すことが可能になる。