口承文学研究家で、筑波大学名誉教授の小澤俊夫さん(88)=川崎市=を講師に迎えた「丹後・丹波昔ばなし大学 語法理論研究会」(実行委員会の主催)が5月21日、篠山市の四季の森生涯学習センターで始まった。丹波、丹後をはじめ、名古屋、沖縄などから、子どもと本に関わる活動をしている73人が受講。80分の講義を3コマ、みっちりと学びを深めていた。年2回の全4回講座で、全国9カ所で開かれている。
昔ばなしの「語法」とは、聞くだけでその場面がすっと浮かぶ語り口。分かりやすく人に伝えようと、シンプルでクリアになったものを壊さずに伝えていくために、その理論を学ぶ専門的な内容。
小澤さんは講義で、「地域で語り継がれる話は価値がないとして、有識者が立派な文学にしてしまう。それは昔話の危機。語る人がなくなれば本が媒体となるが、その本がだめなものだったら、どうしようもない」と警鐘を鳴らし、語り継がれたそのままを伝承することの大切さを説いた。