兵庫県篠山市今田町の畠良博さん(69)宅の玄関脇の軒下で夏鳥の「オオルリ」が営巣している。人間が暮らす家に巣をつくるのはとても珍しいとみられる。
サッシの上にこけを積み上げてこしらえた巣。ばね仕掛けのおもちゃのように体を起こし、大きく口を開けてえさをねだるひなが1羽確認でき、オス、メス両方の親鳥が交互にイモムシなどのえさを運び込んでいる。
オスが名の通り美しい瑠璃色の羽を持つオオルリは、コマドリ、ウグイスと共に「日本三鳴鳥」に数えられるほどさえずりが美しい。全長約16センチで、日本には夏鳥として渡来、繁殖し、冬季は東南アジアで越冬する。
通常、岩・土壁のくぼみにこけなどを用いて巣をつくる。兵庫県版レッドデータブックでは、県内の生息状況について、今後の動向を注目すべき種とする「要注目種」に指定されている。
親鳥は、畠さんらが玄関先で作業している時は、庭木の茂みに身をひそめるが、激しく警戒するそぶりを見せる様子はない。
畠さんは、「ツバメなら毎年、軒下で巣をつくっているが、今年はまさかオオルリがやって来るなんて」と驚き、「危険な人間ではないと判断してくれてのことかな。無事に巣立ってくれたら」と、妻の恵子さんと一緒にほほ笑んでいた。
日本鳥学会会員の男性は、「オオルリは警戒心が強く、人の出入りの多いところで巣をつくるは珍しい」と言い、「7月にひなを育てるのは遅い。一度、子育てに失敗して、急ごしらえで営巣しているペアなのでは」と推測している。