兵庫県篠山市出身の小山啓太さん(29)と愛知県碧南市出身の小林将さん(28)の漫才コンビ「おれたち同級生」が、9月1日から「日本一周投げ銭ツアー」に挑戦する。車で47都道府県を巡り、飛び込みで仕事を探しながら次の目的地を目指して日銭を稼ぐという「笑いの武者修行」だ。
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芸能スクールで意気投合
ともに幼いころから芸能界に興味があったものの、なかなか大きな「夢」を語れない片田舎で育った。しかし、小山さんは恩師が、小林さんは姉が「夢があるなら絶対がんばれ」と背中を押してくれた。
そして、2人は大手芸能事務所の芸能スクールで肩を並べ、意気投合。引っ越し先は同じアパートの別の部屋にして、家賃や礼金を下げる交渉をするほどの仲良しになった。
芸能事務所にも所属し、俳優として、映画やCM、ドラマに出演し、芸能人としての生活をスタートさせたが、やはり甘くない世界。思うように仕事ができず、バイトをしながら食いつなぐ日々の中、俳優としての仕事をあきらめだした小山さんに、小林さんが言った。
「一緒にお笑いやろう」
ひと足先にもともとやりたかった「お笑い」に走っていた小林さん。高校時代の同級生とコンビを組んでいたが、ネタ合わせの時間がとれず、解散していた。次に白羽の矢を立てたのが、同じアパートでいつでも会える親友だった。
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最後のコントで再結成
ボケとネタづくりは小林さん、ツッコミは小山さんが担当し、漫才やコントに挑戦した。が、当然、お笑いの世界も甘くはない。結局、うまくいかないストレスから喧嘩して解散に至り、2人の仲も気まずいものになってしまう。
その後、小山さんがとある会合で、「人の話を聞くことの大切さ」を知り、すぐに気まずい関係のままの相方の顔が浮かんだ。しかも、小林さんは愛知に戻って家業を継ぐと聞いていたところだった。勇気を出して、今度は小山さんが小林さんに言った。
「最後にコントやらん?」
イベントで披露したのは一言もしゃべらないコント「椅子取りゲーム世界選手権」。急ごしらえにもかかわらず、これが思いのほかウケた。客の笑顔に、2人のわだかまりもほどけた。1年ぶりに飲みにいき、互いに再結成を確認しあった。
紆余曲折を経て、今、真剣に「笑い」に向き合っている。
小山さんが、「笑いは誰にも損をさせないもの。そして、どんな人も笑いがないと死んでしまう」と言えば、小林さんも、「自分も何度も笑いに助けられた。そんな笑いに身を寄せていたい」と熱く語る。
とはいえ、まだまだ自己採点は「40点」。バイトも辞めて挑む日本一周ツアーの先に、笑いと人間的なレベルアップがあると信じている。
日本一周の様子はコンビのフェイスブックやツイッターなどで配信する予定。