一夜限りのはかない花として知られる月下美人が9月12日夜、山南町下滝の西垣敏夫さん(79)宅で咲いた。西垣さんは妻の八重子さんを昨年3月に亡くした。八重子さんが10年育ててきた月下美人を引き継ぎ、大切に育ててきた。「今か今かと咲くのを楽しみにしていた。妻と一緒に開花を喜びたい」と話している。
八重子さんは川代公園(同町上滝)そばで20年間、名物「恐竜うどん」で知られる喫茶・軽食「寿美礼」を営んできた。亡くなる10年ほど前に客から「珍しい花があるよ」と譲り受け、大切に育てた。
八重子さんが亡くなり、閉店してからも、敏夫さんが寒いときは部屋に入れたり、水やりをするなど、「妻の形見と思って」(敏夫さん)大切に育ててきた。
敏夫さんは「きれいな花のわりに、みんなに見られずに終わるさみしい花ですね」と話している。