兵庫県篠山市河原町の宿泊施設「王地山公園ささやま荘」が来年4月からの2年間、宿泊営業を休止することがわかった。利用者の減少により赤字経営が続いていることや、施設を改修しようにも多額の費用がかかるため。市が出資し、同施設を指定管理している第三セクターの株式会社「アクト篠山」は、同施設の人員を現在の20人から10人に半減するなどして、経営の改善を図る。レストランや宴会などの飲食部門は継続する。
同施設(24室、宿泊定員58人)は1984年に国民宿舎としてスタート。国民宿舎としての営業を終えた後、2001年度に4億5000万円をかけて部分改築を行い、02年4月から同社の前身、「クリエイトささやま」が管理・運営し、10年からは同社が指定管理者として運営してきた。
篠山市によると、10年に年間9500人だった宿泊者数は昨年7766人にまで減少している。
売り上げも低迷し、同社の宿泊部門単体では、9年前から赤字に転落。15年度は1300万円、16年度は2400万円、17年度は1800万円の赤字となっていた。
今年度も猛暑や豪雨災害などが頻発したことにより、利用者が大きく減少しているという。
同社は観光拠点施設「大正ロマン館」(同市北新町)なども運営しており、ロマン館などの収益で宿泊部門の赤字をカバーしていたが、ロマン館の売り上げも減少傾向にあることから、14年度からは会社全体でも赤字に陥っている。
このような状況から、同社は市に対して、残り指定管理期間の2年間(19、20年度)の宿泊営業停止を要望。「人員削減などの経営努力を図り、収支の改善を図りたい」とした。
同施設の宿泊予約が半年前からとなっているため、10月から受付を停止する。
市は要望を受け入れる方針を固め、同社と協議し、大規模改修を行うかどうかや、将来の同施設の必要性自体も検討を行うという。
27日の市議会全員協議会で明らかにされた。議員からは、「赤字が膨らむ前に対応できなかったか」などの声が上がった。
市は、「今後、どう経営を立て直すか、検討を進めていきたい」とした。