世界に売り込め! 黒い「EDAMAME」―。兵庫県篠山市立町の黒大豆卸問屋「小田垣商店」と、同市泉に工場を持ち、焼きビーフンでおなじみの「ケンミン食品」(本社・兵庫県神戸市)がタッグを組み、冷凍した黒枝豆を大量生産し、全国への販路拡大に臨む。現在、シーズンを迎えている黒枝豆だが、秋のこの時期にしか味わえず、日持ちもしないことから、流通は地域も期間も限定されているため、良質な豆を集荷、選別できる問屋と冷凍技術を持つ企業が手を組んだ。両社は、「全国、また世界に日本一の枝豆を売り込んでいきたい」と意気込む。12月から本格的に販売を開始する。
朝のうちにさや取り機で収穫した黒枝豆を選別して、工場に移送。新鮮なうちにゆで、急速冷凍する。
黒枝豆はさやをもいだ瞬間から鮮度が落ち始めるが、産地から工場までの距離が近いことで、鮮度と味を保ったまま、大量に冷凍黒枝豆を生産し、全国に届けることができるようになる。
小田垣商店によると、さや取り機を使うことで、1日の収量は手作業の10倍以上になる。今年は市内約10軒の農家・団体と契約。将来的には100トンの生産体制を構築することを目指す。
黒大豆に加え、昭和48年から黒枝豆も扱うようになった小田垣商店が冷凍化を模索する中、同じ取引先の銀行が、普段から焼きビーフンの製造で冷凍技術を持つケンミン食品に小田垣商店の思いを打診。タッグを組むことになった。
共同開発しながら、互いの販路を駆使して全国に販売。生協や百貨店、通信販売などで販売するという。
また、和食ブームの海外では、通常の枝豆が、「EDAMAME」として日本を代表する食の一つになっており、両社の取り組みが黒枝豆を世界に売り込むチャンスになると期待されるという。
16日に篠山市役所で会見した小田垣商店の小田垣昇常務は、「丹波篠山の黒枝豆は日本一、世界一と自負している。たくさんの方に食べていただくことを楽しみにしています」と笑顔。ケンミン食品の高村一成社長は、「40年前に篠山に工場を建設し、何か、篠山の役に立てないかと考えていた。農作物の冷凍は初の試み。アジアや北米、ヨーロッパにも売り込んでいきたい」と話していた。
ケンミン食品は、200グラム入り800円(税抜き)、小田垣商店は150グラム入り630円(同)で販売する。問い合わせはケンミン食品のお客様相談室(078・366・3035)。