兵庫県丹波市氷上町香良地区の岩瀧寺渓谷で修行し、「浅山一傳流」を開いたとされる剣豪、浅山一傳斎を顕彰する奉納演武会が11月11日、同寺境内で行われた。鎌倉市の浅山一傳流武者組研究会のメンバーによる武術の数々を、約100人が静かに見守った。
浅山一傳斎は天正年間の人。浅山一傳流は、剣、棒、柔、鎌、居合などの総合武術で、後の時代に各藩に伝承された。明治19年に制定された「警視庁流形」で、剣術と居合の中に浅山一傳流の形が採用された。
この日、浅山一傳流体術、鎌術、亀井則子代表と河合佳昭共同代表の棒術などに続き、木刀型などが披露された。体術の中には、一傳斎が岩の切り立つ渓谷での修行のなかで、猿の動きをもとに編み出したとされる猿手投げもあった。最後に亀井代表が真剣による居合術の左右両切り、左一文字などの技を見せ、見学者は迫力に息をのんだ。
見学した男性(85)は「一傳流の技を伝えていこうとする研究会のみなさんの熱意が伝わり感動した」と話した。丹波市剣道連盟で会長を務める男性(69)は「披露された一傳流の木刀型を剣道の稽古に取り入れたい」と言い、演武をきっかけに、地元に伝わる一傳流の技を承継していこうという気運が盛り上がった。