兵庫県丹波市内で、冬眠を前にしたツキノワグマの目撃や痕跡情報が相次いでいる。特に10月中旬から急増している。柿を中心に食べられており、木にツメ跡などが見られたという。同県森林動物研究センターは、カキの実をもぐなどの対策を呼びかけている。
■民家の庭先にも出没
同市春日町の工場隣の柿の木にツメ跡が残されていたほか、カキを食べた跡が10月18日朝に確認された。工場を経営する男性(51)は、「30個くらいのカキを食べていたのだろう。2年前にも出たが、その時には、5センチくらいの太さの枝も折っていた。今回はそんな状況は見られず、2年前の方が個体は大きかったのではないだろうか」と見る。
19日夜には、同町の民家の庭先にクマが出没。家人の男性(67)は、「孫が黒い物が見えると指をさすので、懐中電灯で照らしたが、逃げた後だった。翌日、柿の木のひっかき傷や大きな糞を見て、クマと確信した」と話す。さらに、同市市島町では、20日夜に大きな音がしたという。家人の女性は、「翌日、犬の散歩をしている途中に、大きな糞を見つけた。家に戻ると、柿の木の実がすっかりなくなっていた。昨夜の大きな音は、クマが木に登って遊んでいたのかも知れない。恐ろしい」と肝を冷やした。
■柿もぐなど対策講じ警戒を
県森林動物研究センターの9月末のツキノワグマの目撃情報によると、同市と、隣接する篠山市では、4―9月に累計35頭が目撃されており、同県内では4番目に多い。10月になって、両市ではすでに相当数の目撃があり、昨年度を上回りそうという。両市で、ここ数年で一番出没が目立ったのは、平成28年度の90頭。
クマの出没とどんぐりの関係性が言われるが、「全県ではどんぐりは平年の生りだが、少ない地域もあり、山に食べ物がないため、里に出てきているのではないか」と同センターの動物専門員は話す。「ドングリに代わるものがカキ。今のうちに実をもいでしまうとか、不用な枝を切る、クマが登れないように木にトタンを巻くなどの対策を講じたい。対策をしないと同じところに出る可能性がある」と指摘する。
同センターでは、コンポストなど残飯を目立つところに置かない、冬眠時期の12月中ごろまで警戒が必要、と注意を呼びかけている。