出直しの酒井前市長が当選確実 「市名」是非の住民投票と同日選

2018.11.18
市名変更問題

 兵庫県篠山市の市名を「丹波篠山市」にするか否かを巡る住民投票と合わせて実施された同市長選が18日、投開票され、前市長の酒井隆明氏(64)=自民、公明、国民民主、兵庫維新推薦=が4選を確実にした。一方、市名変更を巡る住民投票は午後9時過ぎから開票される。「賛成多数」で変更を訴えた酒井氏を後押しするか、「反対多数」で、市長選と住民投票の結果がねじれるのか、注目が集まっている。

 来年5月の元号変更に合わせた市名変更を推進した酒井氏は、市として変更を意思決定した後に住民団体が住民投票を求める署名集めを開始し、1万人以上の署名が集まったことから、「市民に信を問いたい」として辞職。出直し市長選に臨み、「丹波篠山市」への変更を訴えた。

 対抗馬として出馬した前市議の奥土居帥心氏(60)は、酒井氏の市政運営を批判し、支持を訴えたが、3期の実績と後援会組織が盤石の態勢で臨んだ前職に及ばなかった。

 ◆篠山市の「市名変更問題」
 
 1999年、平成の合併第一号として誕生した兵庫県篠山市。04年、隣接する同県氷上郡が合併して、旧国名を冠した「丹波市」となったことを機に、篠山市の愛称「丹波篠山」が「丹波市と篠山市」と誤解されるようになったことや、ブランドとしての「丹波篠山」を守る目的から、昨年2月以降、商工会や観光協会、JAなどの団体が、市に対して「丹波篠山市」への変更要望書を提出した。

 要望を受けた市は今年4月、市名を変更した場合の経済効果を「52億円以上」と発表し、8月には市として、「丹波篠山市に変更を検討する」と意志決定した。

 一方で、現状維持を望む市民もおり、「問題」に発展。9月には市名の変更の賛否にかかわらず、「市名は、市長と議会だけで決めるのではなく、市民みんなで考える問題」として、住民投票の実施を求める住民団体が、条例で必要な有権者の署名(7066筆)を超える約1万筆を集め、住民投票が実施されることが決まった。

 住民投票の実施を受け、同市の酒井市長(当時)は、「変更の方針を決めた責任があり、市民に信を問う」として10月16日付で退職。住民投票と合わせた出直し市長選への出馬を表明していた。

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