認知症を理解し、地域で見守る「認知症サポーター」の養成講座が10月24日、兵庫県篠山市の古市小学校で開かれ、3、4年生34人が受講。今回で人口約4万3000人の同市内の認知症サポーターは1万人の大台を突破した。大人はもちろん、小学校などの教育現場でも養成講座が広がりつつあり、市地域福祉課は、「子どものうちに認知症を理解することを通して、認知症だけでなく、困っている人への思いやりを学んでくれたら」と期待する。
認知症サポーターは、症状の知識、対処の仕方、地域での支援などを学ぶ講座を受講した人のこと。特別な活動をするわけではないが、「理解」と「見守り」で、患者や介護者を支援する。
厚生労働省が旗振り役となり、2005年度から養成キャンペーンを全国的に展開。篠山市では06年度からスタートし、12年かけて1万人を達成した。
学校での養成講座も進んでおり、特に古市小学校では9年前から毎年、継続して実施。今回の受講で計220人のサポーターが誕生している。
この日の講座では、サポーターの普及に取り組む「キャラバンメイト」のメンバーが来校。講座の前半には、目が見えにくかったり、もの忘れが多くなるなどして、不安や悲しさ、怖さが出てくるなど、高齢化による心身の変化を説明。脳の機能が低下する仕組みも紹介した。
後半では、メンバーが高齢者役を務める寸劇を披露。自宅で独りになった高齢者が昼食のカレーを温めようとするものの、レンジの使い方がわからず困っているという設定で、児童たちは、レンジの使い方を教えたり、「手紙に使い方を書いておけばいいのでは」「ボタンを押せばいいだけにしておいたほうが」などと考えを発表した。
メンバーらは、「いろいろ考えてもらって心がほっこり、満腹になりました。一緒に住んでよかったと思える篠山市にしていこう」と感謝した。
メンバーで、市地域福祉課の松本ゆかりさんは、「やっと1万人まで来た。普及を続けながら、『何かやりたい』と思ったサポーターの人たちが活動できる場をつくっていけたら」と話していた。