兵庫県篠山市出身のキーボード奏者、小島彩里さん(31)=神奈川県=が、さまざまな世代から支持されるインストゥルメンタルバンド「neco眠る」に加入。全国各地のライブに飛び回るなど、活動の幅を広げている。今年は毎年、新潟県で開かれている日本最大級の野外音楽イベント「フジロックフェスティバル」にも出演。大舞台でのパフォーマンスには、「『人がいる!』と思いました」と笑い、「これからたくさん曲を作って、ソロでもどんどんライブに出たい。武者修行中です」とはにかむ。
昨年、結成15周年を迎えた「neco眠る」は、「和」のテイストも盛り込んだ誰もが踊りたくなる空気感の楽曲が特徴で、”他に類を見ない唯一無二のスタイル”などと評価されている。
小島さんは高校までを地元で過ごし、京都の同志社大学へ進学。そこで軽音サークルに入った。
といっても、この時点でバンドは未経験。「小学生のころに少年少女合唱団に入っていたのと、中学校でユーフォニウムを少しやったくらい。ただ、何となく歌いたいなと思って。実際はほとんど見てるだけでした」と振り返る。
個性的な仲間たちと過ごす中、さまざまな音楽にもふれるようになり、ふと思った。
「自分でやってみよう」
楽器奏者なら誰もが通る「有名曲のコピー」をせずに、いきなりオリジナル曲を制作。バンド活動にのめり込んだ。
2009年に結成、今も活動する女性バンド、「Casioトルコ温泉」は、ライブを見に来る人が楽しいことが第一のバンド。そのステージは独特で、あらかじめ作った曲に合わせて自動演奏の楽器のボタンを押しつつ、メンバーがフラフープを回したり、舞台でお酒を飲んだりと、「とにかく楽しい」スタイルだ。(動画サイトにアップされている「びわ湖わんわん王国」は一見の価値あり)
このパフォーマンスが、「neco眠る」のメンバーの目に留まり、加入を持ちかけられた。
そもそも「neco眠る」のファンだったという小島さん。加入話が出た際には、「いつも盛り上がっているライブしか見たことがなかったので、そこに技術がほとんどない自分が入るのは『怖い』と思ったけれど、それも一瞬でしたね」とさっぱり。「ひよらない。できなくてもやる。恥をかいてもやる。普段、経験できないことは経験する。この気持ちだけは昔からあったので、すんなりと加入させてもらいました」
現在は生活の拠点を神奈川県に移し、仕事をしつつ、「neco―」や「Casio―」などのライブを月に数本こなす。東京や大阪だけでなく、全国各地を飛び回っている。
故郷には年に数回しか帰れないが、「地元はやっぱり格別。四季がちゃんとあって、お城があって、山が見える。自然にいろんなことを吸収していたんだな、と今になって思います。最近は帰るたびに活気が出ていて、うれしいです」とにっこり。「自分の思いを切り取って表現できるのは、私には音楽しかなかった。けれど、最近は『自分がおもしろいと思ったものはおもしろい』と、自信を持つようにしています」と前を向いている。