2年後の2021年、アジアでは初めて日本で開催される世界最大の生涯スポーツの国際大会「ワールドマスターズゲームズ」に、兵庫県丹波市柏原町発祥のニュースポーツ「囲碁ボール」がオープン競技として採用されることになった。丹波市囲碁ボール協会(由良昭八会長)は、「囲碁ボールが世界に羽ばたく好機」と喜んでいる。
ゲートボールと五目並べを一緒に
ゲートボールと五目並べを組み合わせた「囲碁ボール」。人工芝のマットに縦横7本ずつの線で碁盤の目が描かれ、その交点がくぼんでいる。木製のスティックでボールを打ち、くぼみにボールを入れる。縦、横、斜めのいずれかに3つ以上5つ以下のボールを並べると「ライン得点」になり、この多さで勝敗を決める。同点の場合は、くぼみにより多くのボールを置いた「ポイント得点」で競う。
「ワールドマスターズゲームズ」は、おおむね30歳以上なら誰でも参加できる国際大会。1985年、カナダのトロントで初めて開催され、以後、4年ごとにデンマーク、オーストラリア、アメリカなどで開かれた。日本での大会名は「ワールドマスターズゲームズ2021関西」。兵庫県など2府6県で正式競技として34競技58種目が行われるほか、オープン競技もある。国内から3万人、海外から2万人の参加を目標にしている。
同協会は、大会組織委員会に囲碁ボールをオープン競技として採用してもらうよう申請し、実現した。
同協会では、協会長杯大会や県大会など年間に5回、大会を開催。多い時で150人ほどの参加があるが、同ゲームズでは、200チーム(1チーム3人)の計600人を目標に参加を呼びかけたいという。同市の柏原住民センターをメーン会場に市内の学校体育館でも行う予定。海外からの参加者に向け、英文のルールブックも作成する。
領地争いを囲碁で解決した神社も
囲碁ボールは1992年に誕生。織田家ゆかりの旧柏原町の町長が、山形県天童市で開催された「信長サミット」に参加した際、人が駒になって楽しむ「人間将棋」を見て感心したのがきっかけで、柏原町でも地域性のあるゲームを考案することになった。柏原には、隣村との領地争いを囲碁の勝負で解決した殿様をまつる神社があることから、囲碁を生かすことにした。
誕生から30年近くになり、全国各地に普及した。神奈川県平塚市には、同協会から指導員の認定証を交付した人が300人近くおり、長野県飯田市には60人ほどいるという。
同協会事務局長の前川豊市さん(72)は、「日本全国で囲碁ボールを楽しむ人がおり、600人の参加目標は無理ではない数字」と言い、「海外にも囲碁ボールが浸透し、大会が開かれるようになれば」と夢見ている。