兵庫県丹波市氷上町常楽のフィットネスボクシングジム「TAMURA GYM」(田村俊会長)に通う子どもたちと、同市内中学校勤務のALT(外国語指導助手)のローラー・ケイレブさん(27)が、英語を取り入れたボクシングを楽しみ交流を深めている。子どもたちはカナダ出身のケイレブさんの掛け声に合わせて拳を振るい、体を動かしている。ジム内は笑顔とともに「イングリッシュ」であふれている。
カナダ出身「ジムの雰囲気温かい」
「ワンツー」「ジャブ、ジャブ」「キープ ゴーイング」「ファースター」―。子どもたちの前に立ってシャドウボクシングをする際や、ミット打ちでもケイレブさんの掛け声が子どもたちを鼓舞している。
同ジムに通い始めたのは2年ほど前。ジム近くのこども園のイベントに参加したあと、駐車場で仲間と談笑していると、田村会長(40)が「ハロー」と声をかけながら近づき、ジムに誘われたという。「いきなり声をかけられてびっくりした。でも、それが日本での素晴らしい友人との出会いになりました」と振り返る。
田村代表は、海外の人が持つ明るさや感性に興味を引かれ、ジムでともに汗を流すメンバーを探していたという。「特に子どもたちは海外の人に対して萎縮してしまいがちだが、臆することなく話し、交流を深めてほしかった」と語る。
ALT仲間3人ほどで通い始めたケイレブさん。ボクシング経験はなく、当時は流ちょうに日本語が話せず苦労したが、「ジムの雰囲気が温かかった。たくさん体を動かすから、次の日は必ず筋肉痛です」と笑う。ほかのALT仲間は帰国するなどし、今ではケイレブさん一人が通い続けている。「英語じゃなくてもいいんです。日本語でも子どもたちと会話できることがうれしい」と話す。カナダのことや春休みの予定など、腰をかがめて子どもの目線になって話に耳を傾けている。
7月に帰国へ、ジム生「さみしい」
今年7月、ALTとしての勤務を終え帰国する。ともにトレーニングを楽しんだ小学4年生の男の子は、「誰にでも優しくて、カナダ式のストレッチを教えてくれた。帰ってしまうのはさみしい」としんみり。
カナダでは救急救命士のケイレブさん。帰国後は医者をめざすという。「子どもたちと楽しんだ時間が思い出。私と会話することで、一人でも海外の国々に興味を持つことにつながれば。日本の人と良い関係を築けたことがうれしい」と話している。