県内最多級の受け入れ定員に 障がい者の短期入所施設を開設 グッドデザイン賞受賞の会社運営

2019.03.27
ニュース丹波篠山市地域

新たに開設した障がい者の短期入所施設「ひこうき雲」と利用者ら=兵庫県篠山市東吹で

兵庫県篠山市で福祉施設を運営する株式会社「みずほ」がこのほど、同市内で新たに民家を改装した障がい者の短期入所施設「ひこうき雲」を開設した。同社が運営する短期入所施設は2施設目で、受け入れ定員は合わせて17人に。需要が多いにもかかわらず、全国的に短期入所施設が不足する中、大きな施設に併設するものではない単独型施設としては、県内で最多級の受け入れ規模の施設を持つ事業者になるという。日本家屋を活用した施設で、利用者らは、「おじいちゃんの家に来たみたい」と笑顔を浮かべながら利用をスタートしている。

短期入所施設は、障がいのある人の気分転換や介護者の休養、用事などの場合に利用されるもの。

「ひこうき雲」は7部屋あり、定員は10人。受け入れ条件は18歳以上の知的、身体、精神障害、難病の人。家庭的な雰囲気を残した空間で、短期入所というよりも、「お泊まり」という空気が特徴だ。

また、施設内をアートギャラリーとも位置付けており、障がい者の文化・芸術活動の拠点にすることを目指す。

開設初日には、同県三木市で書道を学ぶ障がい者4人が利用。それぞれが作った書道作品を展示し、自分の作品が掲げられる様子を誇らしげに眺めていた。今後、半年に一度ほどのペースで展示替えをするという。

施設名は、篠山市上空がたくさんの飛行機の航路となっていることや、覚えやすい名前であること、「下ではなく、上を向いて生きよう」という思いを込めた。

施設内に飾られた書道作品

同社は2015年、同市北新町に山中社長らの元自宅を改装した短期入所施設「みずほの家」を開設。17年には、隣接地にグループホーム「ななつ星」を開設している。

施設開設のきっかけは、生後間もなく重度の脳性麻痺となり、09年に24歳の若さで亡くなった山中社長の妹、瑞穂さんの存在。家族が瑞穂さんと過ごした経験から、「障がいのある人も、その家族がくつろげる時間を」と、妹と暮らした家を改装した施設を開設した。

昨年には、同社と「みずほの家」などを改装した「吉住工務店」(同県丹波市春日町)が、公益財団法人・日本デザイン振興会が主催する今年度の「グッドデザイン賞」を受賞している。

短期入所施設は全国的に不足しており、県によると、県内でも短期入所施設は需要が多いものの施設数が少なく、利用したいときに利用できる状況にはないという。「みずほの家」も現在、2カ月先まで予約で埋まっている状況だ。

山中社長は、「同じ人がまた利用してもらいたくても待ってもらわないといけない状態で、私たちも心苦しかった。ひこうき雲の開設で利用してもらえる機会を増やせるのでうれしい」と笑顔で話していた。

関連記事