過去には「伊達政宗」から寄付も 市独自の震災被災地支援基金 20年度に底つく見通し

2019.03.11
ニュース丹波篠山市地域

市の助成金を受けて東北で交流活動を行った篠山東雲高校の生徒と地元の住民ら=宮城県石巻市で

 東日本大震災から11日で丸8年。東北から遠く離れた兵庫県篠山市は、被災地へ支援や交流に赴く市民の活動を支援するために「復旧復興活動支援活動事業助成金」を設置し、活動を後押ししてきた。市単独で市民の被災地支援活動を支える制度は珍しく、その原資となる「基金」は市民や企業からの寄付金と、それに同額を上乗せする市の財源によるもの。これまで市民と被災地の人々が織りなすさまざまな取り組みに基金が活用されてきたが、時が過ぎ、寄付がなくなると同時に基金残高は減少。2020年度には底をつく見通しとなっている。

 基金は2011年度に創設した。市に寄せられた被災地への寄付金の中で、「市や市民が行う支援活動に充ててほしい」などと要望があったものを選別した上で、一般財源から同額を上乗せ。1万円の寄付なら2万円分の支援につながるという仕組みで毎年、積み立て続けてきた。16年に発生した熊本地震後は、東北だけでなく、熊本での活動も対象としている。

 助成金制度は1団体につき上限50万円を助成しており、今年度は、東北の人も招いた音楽祭の開催や福島から親子を招く保養キャンプ、農業高校の生徒が現地に赴き、農業を通して復興住宅の人々と交流する活動などが実施された。また、福島原発事故などで篠山市内に避難移住した世帯の家賃補助にも使われている。

基金への積み立ての2分の1となる市民からの寄付金は、創設初年度の11年度が約1180万円だったが、12年度には約8万円と大幅に下落。13年度には大口の寄付があり約219万円、14年度は再び下落し、約2万円となったが、15年度には「伊達政宗」と名乗る市民から600万円の寄付があった。

事業に使用されながらも、基金はおおむね1000万円台で推移していたものの、17年度はついに寄付金がゼロとなり、積み立て額は利子の1151円のみ。今年度も寄付がなかったため、基金は大幅に減り、450万円程度になると予想されている。

移住者への家賃補助に基金から毎年120万円を支出していることから、例年、5つ程実施していた市民活動を19年度は2つにする予定で、20年度に基金がほぼ底をつく見通しとなった。

これまで助成を受けてきた団体のメンバーは、「現地のニーズが年々変わる中、活動を続けることに意義があったので、助成は非常にありがたかった。東北の人たちにも、『震災を忘れていない』というメッセージを伝えることができた」と感謝し、「基金は底をつくが、これからも活動は継続していきたい」と話した。

市は、「さまざまな交流が生まれ、継続した活動に取り組む熱い思いを持った人々が、寄付してくださった人の思いを形にしてもらっていることに敬意を表したい」と言い、「基金がなくなったからすべて終わりというものではなく、どのような支援ができるか、検討していきたい」と話している。

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