兵庫県篠山市の西紀南小学校でこのほど、同校区の住民でつくる「まちづくり協議会」主催の防災訓練が行われた。毎年続く訓練に、より多くの人に参加してもらおうと、今年は避難所を想定した炊き出しの味を競う「炊き出しグルメグランプリ」を初めて開催。うどんやカレー、しし汁など地元の10グループが腕を振るって自慢の一品を提供し、参加者らの投票で、「いも煮」を作った守永亜由美さん(37)が初代グランプリに輝いた。「防災」と「グルメ」を結び付けた企画は好評を博し、結果、参加者は例年の2倍以上になった。
初のグランプリには地元住民や地域で活動する神戸大学のサークルメンバーらが参加。蒸しパンやぜんざいなどのデザートや、そば米ぞうすいやじゃがいもを使ったお菓子のポテトサラダといった変わり種もあった。
来場した住民や消防団員らがテント前に列を作って味わい、最もおいしいと感じた料理を投票した。
いも煮で栄冠に輝いた守永さんは、「簡単で一度にたくさん作れるのがポイント。でも、受賞はまさか、という気持ちです」とほほ笑み、「ポテトサラダを出していた娘もがんばっていたので、ちょっと申し訳ない」と言いつつ、「来年もあれば、グランプリを死守します」と気合を入れていた。
防災訓練ではマグニチュード7レベルの地震が起きたと想定し、防災無線で避難を呼びかけたほか、AEDを使った救命訓練や消火器訓練も行った。
まち協では毎年、継続した防災訓練を実施しているが、参加者数の増加が悩みの種だった。そこで、避難所で最も重要なテーマの一つとなる「食」に着目。防災にグルメを掛け合わせた企画を初開催した。
昨年、スタッフも含めて100人ほどだった参加者は今年250人ほどに。まち協の西田武司会長は、「たくさんの人に参加してもらえた」と満足げに語り、「篠山は災害が少ないところではあるが、いつ何が起きるかはわからない。これからも訓練を続け、いざという時に備えたい。炊き出しグランプリも継続していけたら」と話していた。