元高校教師で、30年以上にわたって戦時資料を収集している上村真理子さん(65)=熊本県=が4月20日、兵庫県丹波市氷上町で「私と戦時資料との出会い―愛国少年少女は、どのようにして造られたのか」と題して講演した。丹波市9条の会連絡会の主催。主に学校生活における戦前、戦時下の写真や教科書などを披露し、平和の大切さを訴えた。
上村さんは教師時代、兵庫県内の高校で社会科を教えた。かつて女学校だった夢野台高校(神戸市)に赴任した際、同校の歴史を調べたところ、戦時中の卒業アルバムに防毒マスクを着けた女生徒の写真などが載っていたことに興味を持ったという。「その時代そのものを知りたくなった。なぜもっと早く戦争をやめなかったかなど、疑問が次々に出てきた。本当のことを知りたかった」と言い、同校卒業生らに当時の体験を聞き取ったほか、古書店や古物商をめぐり、資料を収集した。
比較的、平和だった昭和初期の写真をスクリーンに映し、当時の学校生活を紹介。部活動や体育祭、学芸会などに戦時色はなかったが、数年後には一変。日中戦争の勃発後、校庭に高射砲が据えられた写真や、昭和19年の入試では「出征される兵隊さんはどんな決心でいかれるか」などと問われたことを紹介した。「戦争は、こんなに短期間で学校を変えてしまうのかと感じた」と語った。
最後に「世の中では最近、戦争を受け入れる心が大きくなっていると感じている。過去の歴史を知ることが大事で、それによってアジア諸国とも仲良くなり、平和が実現する」と語った。