恐竜「丹波竜」モチーフに新作狂言 「丹波猿楽」ゆかりの地で子どもら上演

2019.04.04
ニュース丹波市地域

川でおぼれる肉食恐竜(右)を助ける子丹波竜を演じる子どもたち=2019年3月27日午後3時41分、兵庫県丹波市山南町、やまなみホールで

能楽のルーツの一つ「丹波猿楽」ゆかりの地、兵庫県丹波市で発足した「丹波能楽振興会」(上田宏美代表)がこのほど、同市山南町のやまなみホールで「新丹波猿楽座始動式・新作特別披露会」を開いた。恐竜化石「丹波竜」の発見地でもある同市。15人の子どもたちが新作狂言「ちーたんと丹波竜」を披露し、約200人の観客らはかわいらしい所作に目を細めていた。本公演は11月に行われる。

新作狂言は、同劇団総監督で能楽大倉流小鼓方の上田敦史さん(兵庫県丹波市氷上町)が書き下ろした。

「丹波竜」をモチーフにした同市のマスコットキャラクター「ちーたん」が発見されるまでの地中での夢の話。披露会では、子どもたちが扮する「子丹波竜」が、大蔵流狂言方の山口耕道さん(兵庫県篠山市)の扮する肉食恐竜に追いかけられるが、優しい子丹波竜は腹をすかした肉食恐竜に小豆、黒大豆、栗をあげる―という話を演じた。

恐竜に似せるための編み物の帽子をかぶった子丹波竜が登場すると、客席から「かわいい」と感嘆の声がもれた。子丹波竜を演じた児童は「緊張せずにうまく演じることができた」と充実した様子だった。観覧した女性は「能や狂言を初めて見た。子どもたちのこれからの上達が楽しみです」と話していた。

 

”丹波の赤鬼”戦国武将赤井直正の能も

戦国武将赤井(荻野直正)を描いた新作能「直正」を演じる能楽師=2019年3月27日午後4時5分、兵庫県丹波市山南町、やまなみホールで

 また、上田さんが書き下ろした新作能「直正」は、”丹波の赤鬼”と恐れられた戦国武将で黒井城主の赤井(荻野)直正を描いた物語。プロの能楽師が一部を演じ、観客らは本格的な能を身近に感じていた。

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