雑木精油で認知症防げるか デイサービスが研究開始へ 森林資源の有効活用にも

2019.04.01
ニュース丹波市地域

地元産のクロモジ精油で認知症予防効果の研究を始める八尾さん(左)と三輪さん=3月4日午前11時12分、兵庫県丹波市氷上町上新庄で

雑木で認知症防ぐ―。兵庫県丹波市氷上町葛野地区に自生する雑木「クロモジ」から取った精油(エッセンシャルオイル)を認知症予防に役立てる試みを、同地区にある「デイサービスかどの」(八尾正幸施設長)が近く始める。デイサービスの特色を出すと共に、森林資源の有効活用による新ビジネスの創出につながればと研究の進展に期待している。精油の組み合わせによっては認知症予防効果が認められており、クロモジで効果が得られないか研究する意向で、連携する研究機関を探している。デイサービス利用者には、精油を垂らしたクロモジのペンダントを首から下げてもらい、効果を確認する。

雑木「クロモジ」、成分的に認知機能改善効果が期待

ビーカー上部の白濁部分が精油。透明部分がフローラルウオーターで、こちらも市販品は高値で販売されている

 長年、森林や森林エネルギーの利活用方法を研究し、高校の特別非常勤講師として竹利用の研究を指導した同地区の三輪邦興さん(69)が、認知症患者にアロマセラピーを施すと認知機能改善効果があるとする医学論文を八尾施設長(63)に紹介、共同で研究に取り組む。

 論文で認知機能改善効果があるとされた「ローズマリー+レモン」「ラベンダー+スイートオレンジ」に含まれる「リナロール」(華やかな甘い香り)、「1、8シオネール」(すっきりした香りと味)、「α―ピネン」(松、針葉樹の香り)、「リモネン」(柑橘系のレモンの皮の香り)がクロモジ精油に含まれており、成分的に効果が期待できると目星をつけた。

 

デイ利用者がペンダントを下げ効果確認へ

デイサービスの利用者にかけてもらうクロモジのペンダント。クロモジ精油をたらし、鮮烈な香りを楽しんでもらう

デイサービスの一角を借り、三輪さんが自作した装置で精油を製造。枝葉4キロから取れるのはわずか20ミリリットルという。

三輪さんは「現時点では推論に過ぎず、科学的根拠を示さないと、効果をうたえない。大学の研究者らと本格的に研究したい」と意欲を語る。八尾さんは「嗅覚の衰えと認知症との関係が言われている。効果のあるなしはまだ分からないが、良い香りをかいで利用者さんにリラックスしてもらえれば」と話している。

鮮烈な香りのクロモジの精油は全国的に商品化され、アロマセラピーに用いられている。1ミリリットル約1000円―約3000円で販売されている。

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