100年前の化粧まわし「凱旋」へ 物々交換で伝わる相撲甚句披露

2019.04.27
ニュース丹波市地域

約100年たってもきらびやかな「神力」の化粧まわしを披露する山内会長(右)ら棚原相撲甚句保存会のメンバー=兵庫県丹波市春日町棚原で

大正時代から伝わる大坂相撲の化粧まわしを活用した相撲甚句を伝承する兵庫県丹波市春日町棚原地区の「棚原相撲甚句保存会」(山内一央会長)が4月28日、同県加東市大門で開かれる「れんげまつり」(大門地域活動協議会主催)に出演する。同保存会には、大坂相撲などで活躍した大門出身の力士「神力」の化粧まわしが伝わっており、約100年の時を経て化粧まわしが“凱旋”する。山内会長らは「今後、大門の人にも棚原地区に来てもらい、交流を続けていけたら」と話している。

 

元大関「大門」の弟「神力」の化粧まわし

山内会長らによると、大正初期、大坂相撲が棚原地区に巡業した際、力士と村人が食物と化粧まわしを物々交換したという。その時のまわしが同地区に6つ伝わっており、うち1つが「神力」のもの。相撲甚句も力士に教えてもらったという。「神力」の最高位は前頭4枚目で、のちに東京相撲に加わり十両になったという。

「神力」の兄も力士で、出身地の「大門」を名乗り、のちに「陣幕」と名乗った。大坂相撲で最高位だった大関まで上り詰めた。

今年、山内会長らが加東市大門にある「大門」の顕彰碑を見学した際、たまたま居合わせた地域住民と懇意になり、「大門」の弟「神力」の化粧まわしと相撲甚句を当地で披露する話がとんとん拍子で進み、実現の運びとなった。

同保存会は40―80歳代の20人でつくり、土俵で所作を行う力士役、甚句の歌い手、行司、呼び込みなどを務める。地元の秋祭りをはじめ、これまで数々のステージに立ち、甚句を披露している。

れんげまつりでは、大門公民館の舞台に立つ。持ち歌の「立つ立つづくし」のほか、春日町や丹波市の名所を紹介する甚句など計3つを披露する。

関連記事