「遅霜」で一番茶が大打撃 例年の3―4割減 ファン稼働せず、「油断大敵」

2019.05.13
ニュース丹波篠山市地域

遅霜で黒く縮れた一番茶=兵庫県丹波篠山市味間奥で

兵庫県内有数の茶どころとして知られる兵庫県丹波篠山市味間地域で、今年最初の収穫となる一番茶が、4月末と5月に発生した「遅霜」の影響で大きな被害を受けていることがわかった。「丹波篠山茶生産組合」によると、20数年ぶりの被害で、一番茶は例年の3―4割ほど減る見込み。鮮やかな若葉色になり、渋みの少ない甘い茶になるはずだった「一芯二葉」は、多くが黒く、縮れてしまっている。

同市味間奥地区を中心とする一帯では、約15ヘクタールで茶が栽培されており、毎年6月には収穫したての新茶などを味わう「丹波茶まつり」が開かれる。

霜被害を受けた畑

「夏も近づく八十八夜」で知られる新茶の収穫は、5月初旬に始まり、同組合によると昨年の実績では、生葉で53トンを収穫している。一番茶が終わると続く二番茶の収穫が始まる。

ところが、今年は4月28日に遅霜が振り、追い打ちをかけるように5月8日に2度目が降った。

やわらかい新芽が出る時期に降る遅霜は、茶を栽培する農家が最も恐れるもので、霜被害を防ぐために、茶畑には「防霜ファン」が設置されている。しかし、電気代の節約を目的に稼働していないものがあったり、ファンが自動で動き出す温度の設定を誤っているものも多く、被害を拡大させた。

13日には霜被害を免れた一番茶の収穫が始まった

霜が降ったところだけが黒く縮れ、全滅に近い畑もあれば、半分は一番茶が残っているところなど、場所によって被害はさまざまとなっている。

同組合の原田勇組合長(75)は、「今年は普段よりも栽培に力を入れ、統一した品質の茶を作るために肥料をまく時期を合わせるなどして、とても良い茶ができていたのに」と言い、「20数年間、こんな遅霜がなかったこともあるが、『油断大敵』ということ」と話していた。

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