かつて兵庫県丹波篠山市北新町の国史跡・篠山城跡南堀に咲き誇り、「名所」として知られたハス。2005年ごろに突如として消滅し、さまざまな復活事業が取り組まれているが、いまだ開花にたどり着いていない。市はこのほど、南堀で地元の篠山小学校6年生とともに、4年目となる種レンコンの植え付け作業を実施。外来カメによる食害防止対策や水質調査など、考え得る対策を行った上での植え付けに期待が高まっている。今年こそ、開花なるか―。
南堀にはかつてハスが一面に咲いており、夏の風物詩として住民や観光客からも親しまれていたが、突然、消滅。同校の児童たちは2013年に開かれた「こども議会」で、市にハスの復活を投げかけていた。
その後、市は原因を外来種のミシシッピアカミミガメによる食害と判断し、これまでに約1000匹を捕獲。並行してレンコンの植え付けをスタートした。市商工会青年部もレンコンを守る柵を作るなどして協力した。
専門家からは、カメやザリガニによる食害のほかに、大雨などの影響で水位が高くなり、ハスがおぼれてしまったことや、土や日当たりの問題などが指摘された。
これまでさまざまな種類のレンコンで植え付けを行ってきたが、今年は「京都花蓮研究会」のメンバーが、かつて南堀で育っていた通称「篠山紅蓮(こうれん)」のレンコンを提供。一部で田んぼの土を入れたり、日陰をつくっていた木を切るなど対策を施した上で、児童たちが植え付けを行った。
男子児童君は、「優しく土をかぶせるのが難しかった。今年こそ咲いてほしい」と期待を寄せていた。
元京都府立植物園園長で、京都花蓮研究会副会長・金子明雄さんの話
開花しない原因は、ミシシッピアカミミガメなどによる食害や気温、また、日陰などの影響で堀の底に堆積しているかつてあったハスの葉などが分解されていないこと、雨による水位の変化など複合的な要因が重なっている。ただ、佐賀城などでは消滅したハスが復活したケースもあり、絶望的な状況ではない。