国内外でホテルなどを運営する「ルートイングループ」が、日本遺産に認定されており、このほど「篠山市」から市名を変更した兵庫県丹波篠山市にホテル建設を計画している。建設予定地は国史跡・篠山城跡近くの城下町地区で、同社の計画では、市や県から許可が出次第、今年10月にも着工。2020年9月末ごろの竣工を目指す。
建設を予定する「ホテルルートイン丹波篠山」(仮称)は、敷地面積約4553平方メートルに、建築面積1565平方メートルの鉄骨造りで地上3階建て。
延べ床面積は3670平方メートルで、客室数は119室。1階には大浴場やレストランを備える。
客室の内訳は、シングル25室、ダブル49室、ツイン42室、デラックスツイン3室。ビジネスホテルはシングルの割合が高いが、観光地という立地条件から家族やカップルなど複数人で使われるように通常とは真逆の内訳にしたという。
周辺には国重要伝統的建造物群保存地区の河原町をはじめ、伝統的な町家が多いこともあり、ボリューム感を抑えるため、建物はT字型に配置して渡り廊下でつなぐ。また、外観のデザインは漆喰風の白い壁などにし、看板も和風のものにするという。
同ホテルの出店を巡っては2017年、グループの永山勝利会長が、城下町の街並みや景観を気に入り、建設を計画。同年6月には、永山会長らが市や商工会、観光協会、旅館業組合、周辺自治会、市議会議員らと意見交換会を開いた。
建設予定地は、市が西日本JRバスから借り受けて市営駐車場として使用してきたが、同社とルートインで協議を進めており、今後、賃貸契約を結ぶという。
同社は国内外に338施設のホテルなどを運営し、昨年3月実績で売上高1015億円。
一方、ホテルルートインの進出を巡り、このほど開かれた市民説明会で参加者の一人が、予定地は市が「歴史環境形成区域」に設定しており、「建築面積1000平方メートルを超える開発は認めない」とあることにふれ、「条例違反ではないか」と指摘した。
市は土地利用基本条例で、城下町や宿場町などを歴史環境形成区域に設定。歴史的な街並みの保全を目的に開発に規制を掛けている。
ただ、同条例では、「1000平方メートル以上の開発を原則認めない」とあるのに続き、「ただし、地域の活性化に資する、また、産業の育成などにつながる場合は総合的に判断する」とあり、説明会で市の担当者は、今回の開発が「原則」から外れていることは認めつつ、「条例の趣旨に配慮して建設されるもので、まちの活性化に資するものと判断した。よりよい開発にしていきたい。今後も説明を続ける」と答えた。