露のまちと「似た市名」縁に交流 「両市民の行き来を」 TambaとTambov

2019.05.27
ニュース丹波市地域

友好協定書を手にする河津さんと工科大学長=タンボフ国立工科大学で(河津さん提供)

兵庫県「丹波市」とロシア「タンボフ市」。似たまちの名を縁に民間レベルで交流を進めている「丹波・タンボフ交流協会」の河津雅人代表(33)=同県丹波市=がゴールデンウィークを利用し、初めて現地を訪問した。タンボフ市内の4か所で丹波市を紹介する発表を行い、大学と協力協定を結ぶなど、精力的に活動。今後は、現地での美術工芸展開催や両市民の行き来などに取り組んでいくという。

 

偶然から始まった交流、両市民で協会設立

ロシア南東部のタンボフ州の州都タンボフ市。交流のきっかけは15年、ロシアと日本の友好団体、「露日協会タンボフ支部長」のヴィヤチェスラフ・フェドートフさんが、兵庫県の地図で似た名のまち「Tamba」を見つけ、姉妹都市提携を思い立ったことが始まり。

インターネット上で丹波市関係者を探していた17年1月、共通の知人を介し、ロシア語が堪能な河津さんと知り合った。同時期にフェドートフさんは丹波市にインターネット経由で新年のあいさつ文と動画を送付。動画は、同支部の男女が凍てつくまちを背景に「恋するフォーチュンクッキー」を踊るものだった。

他に交流先があると、丹波市がタンボフの申し出を断った後も2人はやり取りを続け、丹波市民2人と、タンボフ市民4人ほどで「交流協会」を作り、フェイスブックに協会ページを立ち上げた。同協会は昨年、協会立ち上げ事業として両市の美術工芸品を集めた展覧会を丹波市で開いた。

 

学生交流の友好協定書も締結、歓迎ムード

今回、河津さんは、交流協会のロシア側代表のフェドートフさんが調整したタンボフ国立工科大学、タンボフ州投資活動支援課、プーシキン記念タンボフ州立多目的学術図書館、タンボフ州商工会議所を訪問し、丹波市について説明した。

8000人が学ぶ同大学では、互いの学生の交流などの友好協定書を学長のミハイル・クライニャンスキー教授と交わし、大学側が用意していたロシアの民族衣装に着替えて協定締結式に臨んだ。女子学生たちがロシアと日本をコンセプトにした民族衣装に身をまとい、ファッションショーのような演出で迎えてくれたという。

図書館では丹波市を紹介する企画ができることを確認。商工会議所では、交流事業を実施するための資金の支援などを求めた。また、ロシアでは近年、環境への関心が高まっており、ごみ処理が社会問題化していることから、日本のごみ処理の方法や丹波市でのごみの分別などを説明し、幼い頃からの教育の重要性などを伝えた。

また、日本映画祭が開かれているタンボフ民族博物館で、丹波市の工芸展などが開けるめどもついたという。郊外にあるラフマニノフ邸宅博物館を訪れたほか、インターネット上で知り合ったタンボフ市民の案内でまちを散策したり、食事をしたりと刺激的な時間を過ごした。

 

日本語話せる人ゼロも関心高く

タンボフ市の石畳の街並み

初めて訪れたタンボフ市は、30万人が暮らす州都でありながら非常にコンパクトで、宿泊先から主要施設に歩いて1時間以内で行けるようなまちだったという。中心部は高層建物で、車で30分ほど郊外に走ると低層住宅が並び、その先に黒土の畑と森林地帯が広がっていたという。

タンボフに日本語を話せる人は1人もいないものの、アニメやマンガを通して日本への関心は高く、どこに行っても歓待されたという。河津さんは、「丹波市の公職にある人が訪問すれば一気に姉妹都市提携などが実現する手ごたえはある」と言い、「丹波市展と民間人派遣を協会で行いたい。丹波市には大学がないので、高校生どうし交流することも考えたい」と話している。

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