5年前に兵庫県丹波市を襲った豪雨災害からの復興推進について、同市と連携協定を結んでいる「関西国際大学」系列の2保育園の園児計33人が5月22日、同市春日町野上野の農地で田植えを行った。両保育園や同系列の幼稚園は、今春から同市野上野(のこの)自治会を株主とする株式会社「ゆめの樹 野上野」(上山茂人社長)が育てた米を給食に使用しており、食育の観点から田植えを体験した。地域住民も田植えに参加し、“お米でつながった縁”と交流を喜んでいる。
同大学は丹波市で活動する中で、同自治会が一体的に進める循環型まちづくりに共感。「ゆめの樹 野上野」ブランドのコシヒカリ「春日庄米(かすがのしょうまい)」を大学祭で販売するなど、市の「食」についても高い関心を寄せていたという。「春日庄米」は同大学の学食でも使用されており、系列の保育園などを含めて毎月600キロほどを届けている。
4年前に結んだ協定は復興推進を前提としたものだが、農業を通じた地域とのかかわりや、市産農作物のブランド価値の向上に関する取り組みに発展した。
この日、「汐江ふたば保育園」「塚口北ふたば保育園」(ともに同県尼崎市)の園児が丹波市へ。同自治会の尾松一郎さんの田んぼで田植えを体験した。初めて田んぼに入る子がほとんどで、驚いて泣き出したり、大歓声を上げる子もいたりと、にぎやかな声が響いた。田植え綱に20センチほどの等間隔で印がつけられており、地域住民に教えてもらいながら苗を植えた。
田植えを楽しんだ園児(5)は、「いっぱい植えた。大きくなるのが楽しみ」とにっこり。上山社長(68)は「せっかくできたつながりを今後も大切にしたい。園児たちが“親善大使”になって、野上野自治会との交流の輪が広がっていけば」と話していた。
23日には同系列の「難波愛の園幼稚園」の園児が、26日には同大学の学生が体験した。