サルの農作物への被害に悩む兵庫県丹波篠山市畑地区のみたけの里づくり協議会(畑基樹会長)が昨年度に結成した「サル追い隊」の活動が徐々に本格化している。市の補助を受けて整備した群れの受信機や煙火を使い、各集落が連携を取りながら追い払いを実践している。4日には5つの集落が合同で追い払いを実施。今後、市に協力を要請しながら電気柵の充実にも取り組む予定。
A―E群まで県内最多5つのサルの群れがいる同市。C群(27頭)の生息地である畑地区は以前からサルによる被害に悩まされており、2012年から一部集落では国、市の補助を受けて電気柵の整備を進めた。効果が見られた一方で、最近では柵の整備が進んでいない集落への被害が目立ち始めたことが課題になっていた。
昨年度、市の「獣害につよい里づくりモデル事業」(予算額50万円)を受け、全10集落に「サル追い隊」を結成し、集落ごとに追い払いを行っている。また、研修会を開いたり、活動時に着用する蛍光色のベストや受信機を購入。受信機のアンテナを自作するなどした。
今年5月に入ってC群が地区内の3集落に“長期滞在”し、タマネギ、ジャガイモ、エンドウなどを狙った。
これを受け、同月末に被害に遭った地区が会合を持ち、近隣集落にも呼びかけた追い払いを実施。集落が連携して行うのは初めてという。
追い払いには各集落の隊員2―3人ずつ計15人ほどが参加。4班編成で、まずは受信機でサル群れの位置情報を確認した。
再度集まって地図を見ながら作戦会議。再び4カ所に散って時間を決めて一斉に煙火を放った。受信機などによると、群れは山里から離れた位置へと移動。一定の効果が確認できた。
参加した大渕自治会長の畑直一さん(67)は、「うまく連携できたが、しばらくすればまた群れは帰ってくるだろう。これからも畑地区全体で取り組んでいきたい」と話していた。
市農都環境課は、「一つの集落でサルを追い払っても、また別の地域が被害を受ける。追い払い活動をお互い様のこととして尊重、連携する意識が必要。今回のように、自主的に近隣集落でまとまって行うのも、効果を上げる一例になるのでは」と話している。
市は、サルの監視員と捕獲員を配置し、わなを仕掛けるなどして個体数の管理にも取り組み、C群で言えば、繁殖に影響する大人のメスの数を、県の方針に基づく9頭に抑制している。昨年は市全域で44匹(うちC群は12匹)を処分した。