兵庫県丹波篠山市西新町の武家屋敷安間(あんま)家史料館で、きのう9月9日の「重陽(ちょうよう)の節句」にちなんだイベントが開かれている。健康、長寿を祈願する「被綿(きせわた)」体験や、菊をイメージした和菓子で一服を楽しむ抹茶体験などが催され、来場者らは日本の伝統文化に触れながら、和やかなひとときを過ごしている。イベントは10日まで。
「重陽の節句」は、桃の節句や端午の節句などと並ぶ五節句のひとつ。
古来、中国では陰陽思想から、奇数は「陽」で縁起が良い数、偶数は「陰」で縁起の悪い数と考え、奇数の中で一番大きな数の「9」が重なる9月9日は、「一年で最も縁起が良い日」とされた。旧暦(10月中頃)では、菊が咲く季節であることから、「菊の節句」とも呼ばれている。
重陽の節句の中に「被綿」の行事があり、同施設によると、重陽の前日(8日)に菊の花に真綿を被せ、一晩、夜露と菊の香りを綿に染み込ませる。翌朝、夜露を含んだ綿で体をぬぐえば長寿や無病、若さを保つことができるとされる日本独自の風習という。
友人2人と訪れ、被綿を体験した田淵幸子さん(76)は、「ぬぐった部分のお肌がつやつやして若返ったような」と笑い、「後期高齢者ではなく、『香貴高齢者』としていきいきと過ごし、健康長寿を目指します」と笑顔を見せていた。