国内外で公演する女性のみのミュージカル劇団「OZmate(オズメイト)」などを運営する一般社団法人がこのほど、兵庫県丹波篠山市南矢代に「OZ,sブロードウェイシアター&カフェ」をオープンした。劇団やダンススクールの練習場兼公演会場でもある”小屋”で、カフェで働くのは劇団員という珍しいスタイル。団員らは、「景色が良く、最高の場所」と言い、「公演はもちろん、演劇のワークショップなども行い、地域の人と交流していきたい。ぜひ一度、足を運んでほしい」と呼びかけている。
劇団は主宰の辻井奈緒子さん(53)=同県宝塚市=らが1994年に結成。ミュージカルの本場・アメリカのブロードウェイの技術を追求し、日本を代表する劇団になることを目標に活動している。道徳やヒューマニズム、幕末史から戦中戦後など、作品の題材は多岐にわたる。
2016年には、800以上の応募団体があるニューヨーク国際演劇祭に参加。オリジナル作品「The Legendof ONI(大江山鬼伝説)」を披露し、現地メディアからベストミュージカルの一つに選ばれた。
母体の法人は宝塚市にスタジオを持っているが、20人の劇団のほか、生徒100人を超えるダンススクールも運営していることから、以前から広い土地を求めており、各地に赴く中で丹波篠山にたどり着いた。
また、実績があるにもかかわらず、経済的事情から劇団を辞めざるを得なくなる団員の女性たちが働く場として、カフェを併設。ワッフルやホットサンド、パフェなどのカフェメニューを充実させているほか、ブロードウェイのポスターや資料などを置いており、ファンにはたまらない空間に仕上がっている。
定期的に公演を開いていくほか、11月には「こけら落とし」として、坂本龍馬を題材にした「RYOMA」を上演する。
辻井さんは、「景色がとても良く、宝塚から電車一本で来られる。そして、地域の人がとても良い人ばかりという、私たちにとっては”奇跡”のような場所」とオープンを喜び、「ミュージカルというと敷居が高く感じられるかもしれないけれど、海外ではどんな人でも見に行って、生きる活力を得られる場所。気軽に見に来てもらい、団員や地域の人、海外の人など、いろんな人が交流する空間になれば」とにっこり。「いつか丹波篠山の伝承などを題材にしたミュージカルもつくってみたい」と意気込んでいる。