農家の熱い思いにふれ
2018年3月に閉場した地方卸売市場「篠山魚市場」の後を受けて昨年10月に産声を上げた「丹波篠山市場」を運営。「まず、大切なのは地産地消。このまちで採れた野菜を、そこに住む人が味わうことだと思っています」とほほ笑む。
神戸市出身。両親が定年後にIターンした丹波篠山へ、自身も20年ほど前に移住した。
その経歴は多岐にわたる。コンピューターに興味があったため、メーカーに就職。その後、知人の勧めで自衛隊に入隊し、通信関係の部署に配属された。6年間の勤務後、やはりコンピューター関係の仕事がしたいと、大手非鉄金属メーカーに入社。念願のシステム開発部門に就き、定年を迎えた。
そんな異色の“システム屋”が市場にかかわるようになったのは、地域の農家と知り合ったこと。前市場の閉場を受け、新たな市場再開を目指していた農家が言った。「パソコン使えるんやろ?協力してほしいんや」
農業は未踏の分野ながら、帳簿の管理などシステムを組むことはできる。ゼロからの立ち上げでも引き受けたのは、市場にかける農家の熱い思いにふれたからだった。
新市場の運営会社が撤退した後、内情を知る人材として気が付けば代表に。「ここで断ったら市場が崩壊しかねない」と腰を上げた。
まだ、“よちよち歩き”を始めたばかりの市場。手探りも多く、自立には少し時間がかかる。それでも、「自分の経験と知識で地域に貢献できたらうれしいし、みなさんと仕事ができて楽しい。頼ってきてもらえるのもありがたいです」とにっこり。
60歳。趣味はエレクトーンとギター。