兵庫県丹波篠山市黒岡の兵庫医科大学ささやま医療センター(片山覚院長)は、「総合診療科」にかかる初診患者に対してタブレット端末の画面に表示される問いに答えていく「AI(人工知能)問診サービス」を導入した。これまで聞き取りによる問診にかかっていた業務を効率化し、患者の待ち時間短縮につなげるほか、患者が入力した問診結果や「お薬手帳」のデータを電子カルテと連動させることが可能で、医師がそれらの情報も参照しながらスムーズに診察できるようにした。同センターの初診患者は月約200人。
タブレット端末に表示される質問は、いずれも選択式で、例えば「お腹が痛い」といった回答から選択肢を広げていき、回答内容をもとにAIが疑いのある病名などを推測していく。問診の入力時間は症状によっても違うが、概ね5分以内で終わるという。高齢者も多いため、入力の仕方を同センターで学ぶ医大生や職員がサポートしている。
入力が終わると、看護師や職員がシステムに入力。医師が診療時にみる電子カルテ(端末の画面)に呼び出すことができる。これまで医師は、問診結果を電子カルテに手で入力していたが、その手間も省ける。
また、研修医の教育にも利用することで、的確な診断がつけられる総合医の育成に役立てる。
同センターは、同サービスを利用した患者を対象にアンケートをとったところ、年齢層別では年齢が上がるほど、「(入力の仕方が)難しかった」とする回答が増えるが、全体の約8割は、「簡単だった」「まあまあ簡単だった」と答えている。
同センターは、「患者さんの待ち時間短縮につなげるとともに、問診の精度を高め、診療の質の向上をめざしたい。また、医大として優秀な総合医の育成にもつなげたい」としている。