市長「給料増額議案取り下げたいのに…」 市議会否決、4月から5%アップへ 議会「個人でなく市長職として判断」

2019.10.28
ニュース丹波市地域

丹波市役所=兵庫県丹波市氷上町成松で

補助金の取り扱いなど、不適切な事務執行が問題視された9月の兵庫県丹波市議会で、同市の谷口進一市長が、現行月額83万6000円の市長給料を来年4月から5%増額し87万7000円とする特別職給与条例案の取り下げを議会に求めたものの否決され、増額する議案が可決された。議案取り下げに賛成、給与引き上げに反対した議員は、「市民感情に配慮した市長の心情は理解できる」とする一方、議案取り下げに反対、給与引き上げに賛成した議員は、「谷口進一氏個人の給与でなく、市長職の給与として妥当かどうかを判断した」とした。議案の取り下げが認められないのは異例。

市は、空き家を都市との交流や住民間交流に使い、地域活性化につなげる補助金交付において、不適切な事務を行っていた。▽補助金を団体名義でなく代表者個人の口座に振り込んだこと▽代表者が空き家回収の工事費を金融機関を通さず、現金で業者に支払っている▽補助金の流れが適切であることを証明する振り込み依頼書などの提出がなかったこと―などが不適切事務と指摘された。

 

不適切事務受け「取り下げ」求めるも認められず

市長ら常勤特別職の給与、議員の報酬額は、「市特別職等報酬審議会」の答申を参考に議案化して定める。市は、行財政改革のため2005年度に市長ら特別職給与の5%減額を答申したのを最後に開いておらず、議会からの指摘もあり、昨年度に審議会を開催。特別職、市議とも5%増額を答申した。

これを受け、谷口市長は9月定例会初日に、市長ら特別職と議員の報酬を5%増やす議案を提案。審議の付託を受けた委員会がアップを賛成多数で可決した後で、不適切事務問題が浮上。責任を感じた市長が、市民の理解が得られるタイミングを見て再度提案したいと、本会議で一旦取り下げを求めたが、認められなかった。

取り下げ反対理由は、「給与条例は谷口進一氏個人でなく、市長の職責への給与を定めるもので、事務不手際による自身の責任とは分けて考えるべき」「審議会の意見を尊重すべき」「今上げておかないと上げる時がない」など。

取り下げ否決、給与アップ可決の結果に、谷口市長は「意外で、当惑している。今回の不適切事務の責任は、別途自分で考えろというメッセージなんだろう」とコメントした。

一方、市長ら特別職給与とは別に提案された市議の報酬増は可決された。4月から引き上げられる。

条例で定める現在の丹波市長給与は、月額83万6000円と同県内29市中27番目。市議の33万円も同27番目。見直しにより、市長給与は、29市中23番目になる見通し。

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