元小学校校長で、兵庫県丹波篠山市陸上競技協会の会長を務め、今年5月に90歳で逝去した源昌さん(同市味間新)。砲丸投げや円盤投げなどの選手としても活躍した源さんが生前、同協会に「後進の育成のために」と寄付したお金を基にした「源昌基金」が創設され、昨年から基金を原資にした「激励賞」が市内の児童・生徒に贈られている。同陸協は、「源先生の遺志を次の世代につなげられたら」と語る。
源さんは長年、体育と数学の教諭として大阪府池田市の小・中学校に勤務。同市立北豊島中学校時代には陸上部の顧問を務め、府大会総合優勝や中学駅伝で連続入賞など輝かしい成績を残した。
自身も小学校時代から足が速く、6年生の時には旧多紀郡の陸上競技大会のリレーでアンカーを務めて優勝。中学時代には陸上部に入部して活躍した。日本陸上競技連盟公認審判員のほか、池田市体育連盟理事長も務めた。
陸上への愛は生涯続き、55歳で兵庫県のマスターズ大会に出場すると、80歳まで砲丸投げや走り幅跳び、三段跳びの選手として活躍し、金メダル38個、銀メダル3個、銅メダル2個を獲得するなど”鉄人”として名をはせた。
そんな源さんが遺した基金をもとに、陸協が激励賞(1万円)を創設。丹波篠山市在住もしくは出身の小、中、高校生で、近畿大会以上の大会に出場する選手を対象にした。
昨年は3人に贈り、今年は陸協の水井廉雄会長が、棒高跳びで近畿大会に出場した井関良太君(篠山産業高1年)と、砲丸投げでジュニアオリンピックの出場を決めた金井くるみさん(篠山中3年)の元を訪れ、激励賞を贈った。
受け取った金井さんは、「光栄なこと。源さんの思いに応えられるようにがんばりたい」と目を輝かせた。
水井会長は、「源先生をはじめ、先輩たちが築いてこられた協会が今後も存続するためにも、活躍する若い人たちを応援したい。それが先生の遺志を継ぐことにもなる」と目を細めた。
源さんの妻、光恵さん(90)は、「本当に陸上競技が好きで、子どもたちのことをいつも考えていた。自分も大会に出ていて、そのたびに私が一人応援団長で駆け付けました」と懐かしがり、「基金が活用され、とてもうれしいこと。喜んでいると思います」と目を潤ませていた。