はだかでおしくらまんじゅう? 無形文化財の奇祭 裸衆33人が「ヨイサ」「オイサ」

2019.11.03
ニュース丹波市歴史

本堂前で「胴上げ」をする裸衆=兵庫県丹波市青垣町遠阪で

裸で「ヨイサ」「オイサ」―。兵庫県丹波市青垣町遠阪の熊野神社で3日、同市無形文化財の奇祭「はだか祭り」が奉納された。腰にさらしを巻き、白のパンツと足袋に身を包んだ33人の“裸衆”が、体をぶつけ合ったり、胴上げをするなど独特の所作を行い、健康長寿を願った。

裸になることで、「老いも若きも同じ目線・立場で神様の前に出る」「元気な体を神様に見せ、健康でいられるお礼をする」「武器を持たず、危害を加える存在ではないことを示す」などの意味があるという。

「入るぞ」「入れないぞ」―。舞堂の入り口で体をぶつけ合う裸衆たち

川で身を清め神社まで「ダッシュ」

 裸衆は地元だけでなく、神戸市や大阪市などからの参加もあった。5つの組に分かれ、順番に神社近くの公民館を出発。公民館前の川で身を清めたあと、「ヨイサ」「オイサ」と掛け声を発しながら、同神社の舞堂まで駆け込んだ。最初に到着した組は、後から来る裸衆たちを舞堂に入れまいと互いに体をぶつけ合う独特の所作を見せた。

「おしくらまんじゅう」のような独特の所作を見せる裸衆

「おしくらまんじゅう」のような動きも
 このあと、舞堂で胴上げをしたり、“おしくらまんじゅう”のように体をぶつけ合い、さらには本堂前まで石段を駆け上がって胴上げ。これらを7回半繰り返し、回数を重ねるごとに声量が上がるなど盛り上がりを見せた。最後は、御幣をつけた厄除けのサカキの枝を奪い合い、クライマックスを迎えた。

 今年の裸衆で最年長の只野直孝さん(74)は、「この日をめざして体を鍛えた」と笑い、「今年も楽しかった」と話した。同祭りの裸衆が少なくなっていると聞き、横浜市から参加した平川徳治さん(51)は、「1年に一度、裸の付き合いができるのは素晴らしい。また来年、参加したい」と話していた。

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