高齢者の長寿を祝おうと支給する「長寿祝い金」。兵庫県丹波市は、満100歳と満88歳に支給しているが、来年度から支給のあり方を見直す方向で検討している。満年齢で当該年齢に達していても、支給基準日の「老人の日」(9月15日)までに亡くなり、支給されない人がいる一方、誕生日を迎えていなくても「見込み」で支給される人がある。「不公平」と是正を求める市民の声に、市は知恵を絞って対応を検討している。
市の条件は、基準日に市内在住で存命の該当年齢者。「9月15日」は老人福祉法が定める「老人の日」で、市はこの日を基準日としている。
4月から9月の年度の前半に誕生日を迎え、満88歳、100歳となり、基準日までに亡くなった人は支給対象外となる一方、基準日以降3月末までに生まれた誕生日未達の87歳、99歳は「見込み」で支給される。市は「同学年の人に同じ年度に支給する」という考え方。
今年の長寿祝い金支給時に、5月に満100歳の誕生日を迎え、基準日までに亡くなった市内の該当者の遺族から「9月に祝い金を渡すのは市の都合で、不公平」と指摘があり、見直しを検討することになった。
この遺族は丹波新聞社の取材に「人生100年と言われるが、100歳を迎えるのはなかなかの事。支給日を満年齢の誕生日とするか、年度内の全員に交付するなどし、不公平をなくしてほしい」と話した。
市によると、今年度88歳で約500人、100歳で35人ほどに支給した。88歳は1万円、100歳は3万円。基準日に存命でないため支給されない人は毎年あるという。
市の長寿祝い金を不公平と言う遺族の元に、国からは内閣総理大臣の祝い状と記念品が9月15日付で、県からも9月吉日付で知事名の百寿の祝いがそれぞれ届いた。
国と県の100歳の祝いも、市と同様に「老人の日(9月15日)に存命」が条件で、市と同様に「到達見込み」の人も祝っている。国は県、県は市から情報を得ており、該当者が存命かどうかの把握に時間がかかることから、「老人の日」以前に亡くなっている人にも記念品を贈るケースがあるという。また、配送後、亡くなった事実が分かっても、返還は求めないという。