「黒」ならぬ「丹波青大豆」 突然変異種を特産品へ 発見から23年、本格的に商品化

2019.11.18
ニュース丹波市地域

「丹波青大豆さやひかり」の特産化に力を注いでいる荻野代表(左)と、同品種を固定化した小山さん=2019年11月12日午前10時23分、兵庫県丹波市市島町中竹田で

黒じゃなくて青です―。兵庫県丹波地域の特産品で知られる「丹波黒大豆」の突然変異種で、豆が薄緑色をした「丹波青大豆さやひかり」を同県丹波市の新たな特産品にしようと、農業会社「CKF」(荻野一馬代表)が同品種の栽培を拡大し、来シーズンから加工品を含めた本格的な商品化をめざしている。23年前に偶然発見され、数年の試験栽培を経て品種の固定化を図り、2010年に農林水産省に新品種として登録された丹波市生まれの「さやひかり」。大手食品会社への納入が決まっているほか、鮮やかな色見を生かし、枝豆以外にも加工品としての活用が期待できることから、地元の高校とタイアップしスイーツなどを試作しており、若い世代を巻き込みながら展開する。

 

高タンパクで加工品にも活用

 1996年、同市春日町の農家・小山一夫さん(83)が、丹波黒大豆の脱穀中に数個の緑色の豆が混ざっているのに気付いた。専門機関と協力しながら試験栽培を繰り返し、8年がかりで薄緑色をした大豆ばかりが収穫できるようになった。

小山さんが専門機関で調べたところ、「さやひかり」は黒大豆より高タンパクで、豆腐など加工品にも向いていることがわかった。黒大豆と栽培方法は同じだが、受粉の関係で、黒大豆とは100メートルほど離れて栽培しないと、豆が黒くなるという。

小山さんは栽培を委託しながら生産を続け、市内グループに豆腐や味噌、豆ご飯などの加工品を試作してもらい、販売にこぎつけた商品もあった。新品種登録も果たしたが、知名度が伴わず販路拡大にはつながらなかった。

2年前、知人を通じて「さやひかり」の存在を知り、興味を持った同市春日町の荻野代表(41)は、小山さんから指導を受けながら栽培。今年、小山さんから育成者権の譲渡を受けた。市内の耕作放棄地など2ヘクタールほどを借りて育て、うち80アールは獣害被害に遭うなど苦労を重ねたが、栽培方法に自信を深めた。

新しい品種の栽培や加工に喜びを感じてもらおうと、営農科や食品加工科がある地元の氷上高校に呼び掛け、今年は少量の作付けと加工の研究に取り組んでもらった。生徒が豆乳プリン、「おから」ビスケットやクッキーなどを試作し、6次産業化への一歩を踏み出している。

来シーズンは栽培協力農家も見つかり、市内で5ヘクタールほどを栽培する計画。小山さんは「特産化に向け、大いに頑張ってほしい。栄養価も高いので、高齢者にも喜ばれるのでは」と話す。荻野代表は「加工にも期待が持てる。丹波から全国へはばたく品種にしたい」と話している。

詳細は同社のホームページ( https://tsuku2.jp/1919ckf )へ。

関連記事