兵庫県丹波市立植野記念美術館は、小さな子どもたちにも美術館を楽しんでほしいと、全ての企画展で「赤ちゃんからの美術鑑賞ツアー」を実施している。親子や家族連れに気兼ねなく来てもらえるよう、「多少の騒がしさはオッケー」としているほか、作品のパズルや絵探しカード、シールラリーなども企画。安田英樹館長は「どんな人でも来て楽しめる美術館にしたい」と話している。
対象はゼロ歳から5歳までの子どもと保護者。1年前から7つの展覧会で2回ずつ行い、これまでに延べ103人の親子や家族連れが参加した。
開催中の「ひろしま美術館名品展」では、11月22日に1回目のツアーを実施。家族6組が参加した。
子どもたちは▽小さな声でお話しする▽走らないで歩く▽さわらないで見る―という3つの心がけを聞いた後、「たんけんグッズ」をもらい、展示室へ。家族と一緒に絵を見たり、ポストカードと同じ絵を探したりして美術館でのひと時を満喫した。
2歳の息子と一緒に、これまで全ての展覧会でツアーに参加してきた女性(34)は「普段はなかなか見せてやれない良いもの、きれいなものを見せてやれるのでありがたい。おみやげにもらった手作りグッズも喜んで使っています」と話していた。
また、7カ月の赤ちゃんと初めて参加した女性は「最近、美術館に行けていなかったので、いっぱい絵を見てリフレッシュできました。子どもにも刺激になっていたらいいな」とほほ笑んだ。
ツアーを企画している職員の亀井さわ子さんは「忘れてしまう体験であっても、穏やかな気持ちで過ごしたり、美しいものを目にしたりすることはきっと心の糧になると思う。まちに美術館があるという環境を子育てにいかしたい」と多くの参加を呼び掛けている。