平均所得全国842位から15位に? 真相は株式譲渡所得の急増 18年、個人で347億円

2019.12.16
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のどかな田園風景が美しい兵庫県丹波篠山市

2018年の全国市区町村の平均所得(年収)で、兵庫県の内陸部にある地方都市・丹波篠山市が約477万円で、全国1741の自治体中、15位となっている。県内では関西有数の高級住宅地を抱える芦屋市に次いで2位で、17年から200万円近く上昇するという異例の状況。農業が基幹産業で、黒大豆やマツタケなどの特産品があるとはいえ、この急激な上昇は何なのか。市に問うと、一部市民の所得が急激に増加し、平均を押し上げたことが要因という。急増は株式による所得で、その額は一般、上場の両株式を合わせて約347億円に上る。

平均所得477万円、芦屋に次いで県内2位に

2018年の全国市区町村平均所得(年収)トップ15

18年の丹波篠山市の平均所得は477万3468円。14位の東京・品川区の481万1437円に次ぐ金額になっている。1位は東京・港区で1126万4535円。芦屋市は5位で652万8807円。

市区町村別の平均所得は毎年、各自治体からの報告を受けた総務省が発表する「市町村税課税状況等の調」から算出することができる。丹波篠山市の場合、18年の課税対象所得約844億円を納税義務者数(1万7681人)で割り、平均所得を割り出した。

 

17年は277万円、824位

一方、同市の17年の平均所得は277万8699円で、824位。2010年以降で最もランクが高かったのは2011年の618位で282万3606円。10年から17年の平均では、順位で699位、278万6770円となっており、いかに18年が特異だったかがわかる。

平均を急上昇させた18年の株式譲渡所得は、一般株式で約343億円、上場株式で約4億2900万円。17年は一般、上場株式合わせても約5000万円だった。

株式譲渡所得は、株式を売った際に得た金額のこと。譲渡所得に対する税率は所得税が15%、住民税が5%で、合わせて20%となる。

所得税は国、住民税は地方自治体に納めることになっており、347億円のうち約52億円は国に、約17億円は市や県に納めたことになる。

市の18年度決算を見ると、市民税は約32億円で、17年度の約22億円と比べて45・37%増加。うち個人市民税は約27億円で同53・30%増。一方、法人市民税は約4億円で同9・56%増となっていることから、巨額の株式譲渡所得があったのは個人ということがわかる。

市民税の増加は自治体にとって貴重な財源となるが、増加した分、国からの地方交付税は減額(75%)される仕組みになっている。

4位の北海道・猿払村(約765万円)、13位の山梨・忍野村(約509万円)など、丹波篠山市以外にも地方から上位にランクインする自治体がある。ただ、猿払村は大規模なホタテ漁で、忍野村は高所得企業があることから、一時的な上昇ではなく、近年、ランキングの上位入りを継続している。

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