兄弟でロープレスキュー―。兵庫県丹波市出身で西宮市消防局に勤務する消防士、松本孝志さん(40)と秀樹さん(37)兄弟=いずれも西宮市=がこのほど、台湾・高雄市で開かれた、ロープによる救助技術を競う国際大会「橋」に兵庫県内の消防士の有志チーム「NR」の一員として出場し、準優勝を飾った。リーダー(指揮者)を孝志さんが、最初に要救助者に接触するレスキュアーを秀樹さんが務めた。2人は、「大会の経験を通じて、海外のロープレスキューの技術や知識の素晴らしさ、国際交流の意義と重要性を全国の消防士に伝えていけたら」と話している。
ロープやハーネス、滑車など登山やクライミングの道具を駆使し、街中や山中など多様な環境下の災害・事故現場で要救助者を救い出す「ロープレスキュー」の技術を競う大会で、9カ国から27チームが出場(日本からは4チーム)。台湾、韓国、フィリピン、香港、カナダ、オーストラリアなどから、消防士や警察官、軍人らが7人でチームを編成し参戦した。
中国・四国地方の消防士のチームが優勝し、青森県を中心とした消防士チームが3位に入賞。日本チームが上位を独占する好結果となり、日本の技術の高さとチームワークの良さを見せつけた。
大会は3日間あり、事前通告なしの計11の災害ケースを想定して実施。時間、指揮・活動能力、要救助者のケア、安全性などが審査された。
初日は国家スタジアムで体力レースが行われた。救助器具を装着してロープで、延べ75メートルの距離を登ったり、延べ45メートルを降下するなどした。
2日目は会場を山岳地帯に移し、5つの想定で実施。斜面が約20メートル、垂直壁が約10メートルあり、その先に倒れている要救助者を助け出すなどの活動を行った。
3日目は再びスタジアムで開催。5つの想定が用意され、高さ約30メートルにある外壁のパイプの上に取り残された人を救助するなどの活動を展開した。要救助者のところへ複数のロープでアクセスし、担架に収容して地面へ下ろすまでを競った。
「NR」は「西宮レスキュー」の頭文字。同大会には3年前からエントリーしており、10位、7位と実力をつけてきた。前年の大会終了後すぐに今大会を見据え、月3回程度、非番日に集まり、訓練に励んできた。
2人は「大会での経験は職場や現場において、すぐに活かされる。国は違ってもレスキューに対する思いは同じだと感じた。技術の伝承の意味でも若手を引き連れて来年も挑戦したい」と話した。