今月7、8の両日、東京都で開かれた「第14回全国学校給食甲子園」で頂点に立った兵庫県丹波篠山市の献立―。黒大豆やしし肉と並び、優勝の原動力となったのが同市大山上・天内地区の伝統作物「天内芋(あもちいも)」だ。さらに献立で使われた芋は地元の大山小学校の4年生たちが栽培したもの。栄冠に児童たちも、「めっちゃうれしい」と喜んでいる。
サトイモの一種・天内芋は、一般的なサトイモと比べて粘り気があり、もちっとした食感が特徴。同集落の味淵神社一帯の天内谷で代々栽培されてきた。江戸時代には篠山藩への献上品として珍重されたと伝わっており、地域の秋祭りや冠婚葬祭、正月の料理には欠かせない食材でもあった。
近年、栽培者が減少し、風前の灯の状態にあったが、地元住民らが復興に着手。一般社団法人「天内」も結成し、少しずつ作付面積を増やしてきた。
地域の動きを受け、大山小も天内芋について学習を進め、栽培・収穫も体験。2016年には、キャラクター「あもっちぃ」も考案した。さらにはキャラクターと天内芋について書いたカードも作成し、毎年、市内で開かれる民謡の祭典「デカンショ祭」の会場で来場者らにPRして回っている。
地元住民と児童が協力して復興しつつある特産が献立に使われての学校給食日本一。4年生の児童は、「とてもうれしい。いろんなところで天内芋が有名になれば」と言い、「天内芋を知ってもらって、作ってみようかなと思う人が増えてくれたら」と期待する。
同法人の伊勢隆雄さん(73)は、「天内芋がどうこうというよりも、日本一になったことがうれしい」とにっこり。「黒豆やしし肉とともに地産地消の素材の中に天内芋も入れてもらった。名前が出た以上、これからも天内芋を守っていかなければならないと、身が引き締まる思いです」と話している。