今年も全国的にインフルエンザの流行期に入っている。兵庫県丹波市内のある認定こども園では11月に、最多で1日33人が欠席。子どもたちが集団生活を送る園では感染が広がりやすく、過去には市内の別の認定こども園がインフルエンザにより、「登園自粛」を要請したこともある。就労している保護者にとっては、自宅で子どもをみられないからこそ通わせているこども園や保育所。り患した場合は仕方がないにしても、登園自粛になっても子どもが元気だったら、一人で家に置いておくこともできず対応を迫られる。といって、インフルエンザがまん延しているとわかっている園に行かせるのも気がひける。みなさんはわが子の園でインフルエンザが流行した場合、どんな判断をされますか―。
3日間、登園自粛の連絡
共働きの記者は2歳の女児をこども園に通わせている。多くの子どもが一度にインフルエンザにかかったときの園の対応に関心を持ったのは、娘が通う園で「登園自粛」の要請があったことがきっかけだ。
この園では今年の年明けからり患者が増え、1月15日には154人中43人がインフルエンザで欠席。その日におたよりとメールで、翌日から「3日間の登園自粛」の連絡が入った。
もしこれからかかったら…
「まん延しているから来ないでほしい」と言われている園に、り患していない娘を行かせるのは「怖い」と判断。幸い、仕事を休んだり、祖父母の協力を得ることができたが、「もし娘がこれからインフルエンザにかかったら、いったい何日会社を休まなければならないのだろう」と不安がよぎった。
インフルエンザと診断された場合は、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日を経過するまで」登園できない。学校に通う子より解熱後の日数が1日長く、かなりの長期戦になってしまう。
園に尋ねると、登園自粛をしたものの24―32人の利用はあったという。2歳児の子どもを園に預けた母親は「休ませるのが一番いいとは思うが、急には仕事が休めなかった」と話す。一方、登園自粛に対する苦情は1件もなかったといい、園は「登園してもふだんより早く迎えに来てくれた人もあり、協力的でありがたかった」としている。
保育所部は閉鎖できない
インフルエンザによる登園自粛要請は、兵庫・丹波地域では例が少ない。先月、最多で33人が欠席した園でも、こうした措置は取らなかった。
丹波市は、従来の幼稚園と保育所が一体になったこども園は、学校と児童福祉施設の両方の機能をもつため、インフルエンザが流行した場合、幼稚園部は閉鎖ができるが、保育所部は閉鎖ができない、という見解を示す。登園自粛要請についても、保護者の就労を支える福祉施設であるという社会的使命を考慮して、できるだけしないようにしているからという。
しかし、幼い子どもたちが密着して集団生活を送る園は、インフルエンザが広がりやすい環境にある。各園とも、たびたびの手洗い、うがい、消毒など、きめ細やかな対策を取っているが、一度ウイルスが入ってくると、拡大を食い止めるのは難しいという。
手洗いやマスクの着用がうまくできなかったり、おもちゃをなめたりするなど、小さい子ゆえの事情があるからだ。
園「ガイドライン示して」
一方、市内の園長らからは「小さい子なら、なおさら命にかかわる危険がある。学校のような閉鎖措置があってもいいのでは」「保護者の中には、妊娠中の人もいる。園を通して別の家庭や職場に感染が広がる懸念があることも分かってほしい」など、本来なら拡大防止を第一として対応したいという声も聞かれた。
また、登園自粛要請などについて、現在は各園の判断に任されているが、市内でも対応が統一されていないため、「市がガイドラインを示してほしい」と、市の指針を求める園長もあった。
人ごみをさけ早めの対処を
保護者としては、▽外から帰ったら手を洗う▽インフルエンザが流行している時は人ごみに出かけない▽体調不良の時は早めに対処する―など、まずは予防を心がけ、シーズンを何とか無事乗り切りたい。