兵庫県丹波篠山市にある兵庫医科大学ささやま医療センター産婦人科の分娩休止問題を巡る市と医大、県の4回目となる公式協議がこのほど、同市の丹南健康福祉センターで行われた。助産師が主体となって運営する市立のバースセンター(助産所)の開設を検討している市は、医大に対して協力を要請。医大は、同センターだけでは重篤な妊産婦に対応する体制がとれないとして、市に、より高度な医療が整った病院も含めた体制の構築を提案し、今回の協議で進展はなかった。
市は同センターを開設するうえで必須となる産科医や医療機関との連携について協力を求めたが、医大は、医師2人の産婦人科では妊婦に異常が起きた場合など24時間の対応はできないことから、NICU(新生児特定集中治療室)など周産期医療が整備された病院も含めて、「より広域での体制を構築するべき」と応じた。
設置者となる市が、より高度な医療を提供する医療機関と連携したことを確認できた上でないと、医大は協力を確約できないという考え。
また、同センターの開設場所について、市はささやま医療センター内を提案したが、県によると、医療法上、同一の建物内に運営主体が違う施設が入ることは難しいため、使用できないという。同医療センターの近くで開設したとしても現行の産婦人科の体制では対応できないため、「大きな病院へ搬送しやすいインターチェンジ付近の方がいいのでは」と応じる場面もあった。
市は医療センターの分娩休止を受け、助産師が主体となり、正常な分娩のみを取り扱えるバースセンターの開設を検討。妊婦検診も含めた産前産後のケアを行い、分娩は分娩機能を持つ病院で行う「オープンシステム」の導入を想定している。
酒井隆明市長は、「医大から何かアドバイスをもらえるかと思っていたが甘かった。多くのお母さんたちは期待されていると思うので、今後、県立丹波医療センターや済生会兵庫病院など、より広域での体制がつくれるかどうか検討を進めたい」とした。
医療センターの片山覚院長は、「より広域で、互いに信頼のある分娩体制を構築しなければ、開設しても妊婦に選ばれない」とし、「どんなネットワークがつくれるか、私たちも関心があるし、よりよくしたいとは考えている」とした。