兵庫県丹波篠山市はこのほど、市民センターで「マツタケ山復活セミナー」を開いた。マツタケ栽培や森林整備に関心を持つ市民約40人が受講。講師を務めた、樹木医でマツタケ山整備の専門家の伊藤武さん(81)=京都府=は、マツタケ菌が集まった場所「シロ」をつくるためには「雑菌のない、きれいな土」「若い細根」「胞子や菌糸」が必要不可欠と言い、「家の庭のように丁寧な整備をすれば、自然と出てくるはず」と話した。
伊藤さんによると、1940年代には、国内1万2000トンもの収穫量があったが、現在は40トン程度にまで落ち込んでいる。原因は、建築材や燃料確保のためのマツ林の大量伐採にあるという。
最も重要となるマツタケ山づくりの手順について、「初年度は重機を用いて地表整理や整地作業に取り組む」とし、若いマツ林や、昔はマツタケが出ていた土壌が最も適しているという。2―4年目までは、整枝や剪定など、マツの保護に注力し、4年目以降にマツタケ種菌、胞子の接種作業を行う、とした。マツタケが出るまでは「最低7年はかかる」と言い、「管理しやすいよう、まずは15メートル四方程度の整備から始めてみては」と伝えた。
また、効果的な菌根形成が期待できる手法として、同市に隣接する同県丹波市春日町でも実践されている「袋内接種法」や、新しい根が生え、シロの拡大に有効な、深層土壌による盛り土の方法なども伝授した。
参加した60歳代の男性は「地域でマツタケが多く出るようになれば、馴染み深い山になると思う。まずはできることからやっていきたい」と意気込んでいた。
伊藤さんは取材に対し、「丹波篠山の土壌は世界一。マツタケを作る、ということにとらわれ過ぎず、マツ林の管理に力を入れてほしい」と話していた。