兵庫県丹波市山南町の常勝寺境内でサトイモ科の多年草「マムシグサ」があちらこちらで見られる。鎌首をもたげたヘビを連想させる形をした仏炎苞と、暗紫色と白色の縦縞が交互に入った独特の模様が異彩を放っている。
花の形が鎌首をもたげたヘビの様に見えることや、茎の模様がマムシの模様に似ていることからこの名がついた。仏炎苞は花のように見えるが、花軸に密集した小さな花「肉穂花序」を囲むように大きく発達した苞のこと。仏像の背後に見られる炎のような飾りに由来する。
テンナンショウ属に分類され、性転換する植物として知られる。栄養の蓄えが少なく球茎が小さいうちは雄株で、栄養の蓄えが十分となり球茎が肥大すると雌株となって果実をつくる。葉や球根、果実に毒成分を多く含んでいる。
北海道から九州にかけて生育。木漏れ日の差す、湿り気のある場所を好む。
同寺の前住職、宮崎実順さん(84)は、「珍しい植物と思い、草刈りの際は刈ってしまわないよう注意している。そのおかげで年々数が増えてきた。うれしいこと」と話している。